武士道

 まだ『禅と日本文化』に関わっている。読書会のメンバーから推薦されたが、この本にはかなりはまった。
 第3章の「禅と武士」に柳生但馬守のエピソードが出てくる。ざっとこんな話だ。
 徳川宗家の剣道指南の但馬守のところにとある旗本が訪ねてきた。「それがしにも剣道指南をしていただきたい」ということだった。しかし、但馬守は「お見受けするところ、貴殿はすでに剣道の師のようであるが……」と見極める。これに対してその旗本は「剣道を習ったことはない」と言う。何度、問うても旗本はきっぱりと否定する。だが、旗本からは、達人のオーラが出ている。確認すれば、件の旗本、こう答えた。
「剣道はやってはおりませぬが、ただ完全に習得した一事これあり。年少の頃に、武士としていかなる場合にも死を恐れるべきにあらずとの念を発し、爾来数年、死の問題と組討ちいたし、漸くにしてそのことをまったく煩うに及ばなくなり申した」
 但馬守曰く。「剣道の極意は死を恐れざることなり。貴殿はその一事をもってすでに免許皆伝である。技を学ぶに及ばず」
葉隠』に「武士道というは死ぬこととみつけたり」とあるが、まさにこのことと言っていい。

 実は今日が柳生但馬守宗矩の命日である。享年76というから当時としては長命であった。死に臨んで但馬守、なにを思ったであろう。

 そうそう、昨日、ささやかな送別の宴があった。歓送迎会は4月に入ってからあるのだが、今のメンバーだけで話しておきたいこともあったんでね。気の置けない仲間たちなので、宴は楽しかった。でも、店が悪かった。机を2列に離してあったので、くっつけようとすると「配膳に支障があるからダメ」と仲居が受け付けてくれない。何度も頼んだのだが、仲居の都合が優先されるという変な店だった。

 なごや博学本舗がなんだかおもしろそうなことをやるそうだ。ここに詳しい内容がのっている。
http://hompo.net/
 生の呉智英さんに会えますぞ。