大相撲秋場所3日目の結びの一番。大関琴櫻と前頭筆頭の翔猿である。
《琴桜が3連勝 もつれた土俵際の判定は「死に体」 翔猿は「感覚的には負けてない」》
https://news.yahoo.co.jp/articles/02fbb3ddcc28706094f5f74a1ea9277ebb1f1b0e
この結びの一番、ワシャ的には端から心配をしていた。なぜか?
それは、行司が第38代木村庄之助だからである。この人、やたらと差し違いの多い問題行司で、つい最近も差し違いをして「進退伺」を出す寸前までいったが、理事長に遺留されたという前科がある。あの時に辞めさせておけばよかったものを。
なにしろこの庄之助、膝を曲げられない。相撲は土俵に足の裏以外が付くかどうかが勝負に関わるので、できるだけ目を土俵に近づけて勝敗を見極めることが大切だ。しかし庄之助は突っ立ったままで行司を務める。足腰が悪いのかもしれない。だから土俵上でいいポジションに回りこめないから、視界を力士の大きな体に阻まれてしまう。琴櫻の巨体の向こう側でどんなことが起きたのか、庄之助はまったく見ていないから、コンマ何秒前に手をついたかどうかという微妙な判断が下せない。
琴櫻と翔猿がもつれたのは青房方向、テレビ桟敷で言うと、東(左手)と北(手前)の中間あたり、勝負俵のところだった。その位置に二人の力士がいて、背後の仕切り線を挟んで反対側の白房に近い土俵に庄之助は突っ立っている。式守伊之助(木村容堂)なら膝を折って目を土俵に近づけ、さらに一番見やすいところに移動をし、視界を確保して勝敗を確認する。だから時折、力士に巻き込まれて土俵下にすっ飛ばされたりもするんだが、それでも力士から目を離さない。
おそらく伊之助なら、両力士のかなり後ろで突っ立っているようなことはなかった。白房下から正面に回り込んで勝負俵の外に出てでも、両力士の動きを見ていただろう。
でね、やっぱり庄之助は差し違いをしてしまった。ビデオで何度確認しても、琴櫻の掌が土俵についた時、翔猿の右足はしっかりと勝負俵の中にあった。これ、相撲のド素人が見たって、「勝ったのは翔猿」って言うよ。
しかし、伊之助は琴櫻の掌が土俵につく瞬間を、琴櫻の巨体によって死角にされ見ていないのだ。見えるところに動けという話なのだが、老齢故か運動をさぼっていたせいか、まったく動かないのである。
その行司の不甲斐なさが一つの要因であることは間違いない。しかし、見えていなくとも行司はどちらかに軍配を挙げざるを得ないのだ。これを補うのが、土俵回りに5人座っている審判の存在である。昨日は正面審判長が九重(千代大海)、向こう正面に秀ノ山(琴奨菊)、玉垣(智ノ花)、東に時津風(土佐豊)、西に谷川(北勝力)だった。
この中でも九重と時津風は勝負の決まった場所の直近で見ていたはずだ。九重がニュースで言っているように《「(翔猿の体が)飛んじゃってた」と死に体との判定》だったとしても、際どい相撲には間違いない。とにかく手を挙げて物言いをつけ、5人の審判が土俵に上がって確認のための協議をする。その上で「琴櫻の勝ち」とするもよし(よくないけど)。
少なくともビデオを見た全国のテレビ桟敷の好角家たちは納得していないぞ。会場のお客さんたちだってブーイングを起こしていたじゃないか。判っていないのは、行司と審判だけだった。
昨日の結び、「翔猿の勝ち」か悪くて「取り直し」が正しい判断だった。
このすっきりしない判定を相撲協会は大いに反省しなければいけない。