江戸はいいねぇ

 土曜日夜の三重テレビ「浅草お茶の間寄席」を楽しみにしている。ジジイだなぁ(笑)。夕べはなんと金馬だった。芸歴なんと77年。名人とまではならなかったけれど、御年88歳の落語は風格を感じる。出し物は「阿武松」(おうのまつ)。相撲通ならご存じでしょうけど、六代目の横綱阿武松緑之助の出世ばなしである。こういう上り調子の噺がおもしろい。とくにサゲなんてないのだけれど、最初に入門した部屋から追い出された阿武松が死まで決心し、それを好角家の旅籠の主人に救われて、錣山(しころやま)部屋に入門させてもらう。それからはメキメキと頭角をあらわし、両国の横綱の碑の6番目を飾る男になったのである。噺はともかく、楽しそうに高座をつとめる金馬師匠がいいやね。しかし88歳になっても楽しく仕事ができるっていうのは羨ましい限りだねぇ。

 そうそうその後にテレビ東京の「出没!アド街ック天国」が「両国」だった。夏場所が始まるので各局とも相撲で視聴率を稼ごうということでしょうか。さて、その番組の中で両国の「ほそ川」というそば屋が紹介されていた。
http://www.edosoba-hosokawa.jp/
 メニューで出されていたのが5月から夏季限定の「冷かきそば」。
http://www.edosoba-hosokawa.jp/oshinagaki.html
蕎麦の上に牡蠣ですよ。食いてー!でも、六本木からは遠いからね。また、両国国技館江戸東京博物館に行った時の昼にするべ〜。

 六本木って言い出したんで、ちょいと触れますがね。六本木界隈の地名も味気なくなっちまいましたねぇ。六本木7丁目、赤坂9丁目、南青山1丁目、あっちら古い東京の地名を知る者には、オリンピック前夜くらいまでの呼び名のほうが風情があってようござんした。乃木坂あたりも、乃木坂っていうのもいいんでヤンスがね、昔は龍土町なんて呼ばれておりヤした。もとは愛宕下の漁師の住む町が漁人村って言われていたんだけど、元和年間に麻布領内に移転させられて漁人(りょうと)を龍土(りゅうど)に変えたという。浅田次郎の小説にも出てきた麻布霞町や、麻布狸穴町なんてところもございました。
 それでもね、お役所的には〇〇何丁目なんていう白けた住居表示を使っているんですが、地元では昔からある旧名を大切にしているんですと。

 平成の大合併という地名殺し事件では、わが愛知県で「南セントレア市」などという大虐殺に近い自治体名が提案された。あの時の首長は今ごろ反省の日々を送っているのだろうか。我故郷にそんなアホな地名が登場しなくてよかった。旧い地名を大切にしない、これは「学芸員はがん」につながる思想で、ばかな政治家が罹患している病気でもある。
 政治を行うものは秀才バカでは困る。落語でもじっくり聞いて、美味い蕎麦でもたぐって、氷川神社から乃木坂あたりを散策して、きっちりと歴史に学べ。