黄葉(もみじ)狩り

 昨日の続き。
 間伐をかんばつた後、帰路についた。案内をしてくれた地元の人が、「近道があるから」というので来た道とは違うコースをとった。それは標高1400mの茶臼山の麓を回る高原の道だった。
 まだ日中は暑いくらいの三河平野(標高10m)と比べると、高原は秋色に染まっている。空は吸いこまれそうなくらい深い蒼だ。高原を抜ける風は、時々、驚くほどひんやりとしている。そして、控えめに高原を囲む山々には黄葉が盛りだった。紅葉ではありませんぞ。あくまで黄色を主体とした黄葉なのである。西に傾いた日の少し赤味を帯びた光が黄葉の森を照らし出すとき、おおお、山が黄金色に輝くではあ〜りませんか。
 急いで帰らなければならなかったので、降車して楽しむことはできなかったけれど、車の窓を全開にして黄葉狩りを楽しんだのだった。
 紅葉の名所、香嵐渓豊田市足助町)も通過してきたが、まだまだ山は沈黙している。香嵐渓の紅葉は11月に入ってからだろう。でもね、茶臼山まで来ると、もうすでに黄葉が盛りなんですね。なんだか盛り場の裏路地で名店を発見したようなそんな気分でしたぞ。
「めずらしと わが思ふ君は 秋山の 初黄葉(はつもみぢば)に 似てこそありけれ」
 万葉集八巻の「秋雑歌」に、黄葉の歌がいくつか収められている。俳人飯田龍太は、その中でもこの歌をあげて「黄葉の素朴な姿は悪くない」と言っている。
紅葉もいいけれど、黄葉もいい。同行した連中は、黄色の山にあまり感動していなかったようだが、ワシャは楓ばかりの猿の尻のような紅葉より、落ちついた楢やクヌギの雑木の黄葉が好きだなぁ……