錦秋の東京

 昨日、早稲田界隈でセミナーがあったことはお話しましたよね。
雨の中、新幹線で上京し、東京駅から大手町へ出て、東西線を乗り継いで早稲田で下車する。早稲田駅前の交差点に顔を出すと、雨脚が強くなっているではないか。
「弱ったな」
 重い雲の垂れこめた空を見上げた。ワシャは旅行用の小さな傘しか持っていないので、この雨ではセミナー会場に届くまでにずぶ濡れになってしまう。
 地下鉄の出口でしばし様子をうかがっていると、少し雨脚が弱くなってきた。このチャンスを逸すまいと、濡れそぼつ歩道を歩き始めた。
 馬場下町交差点を左に折れると早稲田大学文学部が見えてくる。正門の近くに立派なケヤキが見事に色づいていた。穴八幡神社から箱根山通を登り始めると、道を覆っている街路樹のおかげでずいぶん雨が遮られ、傘が要らないくらい。
少し行くと右手に戸山公園が見える。おお、ここは見事に紅葉をしている。サクラ、シデ、ニシキギイチョウ……雨に洗われて、いっそう鮮やかさを増した戸山の紅葉も、嵐山、香嵐渓とまではいかないけれど、なかなかおつなものでゲスよ。