食料自給率という夢

 民主党は「マニュフェスト」の中で「主要穀物等の完全自給をめざす」としている。主要穀物というのは、もちろん米のことだよね。麦とか豆もはいっているのかな?

 昭和40年、食料自給率は70%あった。それが、現在、39%まで下がっている。この主たる要因は農地の都市化にあるのは言うまでもない。
 都市化の頂点に君臨する東京都の食料自給率はなんと1%である。大阪府にしても2%、神奈川県ですら3%の自給率しかない。大都会はほぼ飢え死に状態と言っていいだろう。
 逆に優等生は、北海道(198%)、秋田(177%)、山形(133%)など東北勢だ。こういった地方ががんばって食糧自給を支えているから、都会の遊民は食っていける仕組みになっている。
 製品別では、米は自給率100%を達成している。民主党のいう「主要穀物等」が米のことならば、すでに100%をクリアしていまんがな。しかし、麦とか豆とかを含むと、自給率はガクッと下がってしまう。小麦を使うパンで1%、納豆などは13%程度しかない。その代わり、野菜類の自給率は高くなっている。麦、豆などと比べると付加価値があるんでしょうね。儲かるから多くの農家が作っている。だから、自給率がいい。反対に肉類の自給率は5〜10%となっている。魚介類ではエビ、ウニ、カニ自給率どん底だが、秋刀魚、ブリなどは100%を維持している。

 以上から導き出せることは、日本人は秋刀魚と野菜の煮付けをおかずにしてご飯を食っていればよろしい、ということである。そうすれば食料自給率はさほど心配することはない。
 ただ、ここにも落とし穴があって、今の農業が化石燃料にずっぽりと依存をしている現実を忘れてはいけない。米にしろ芋にしろ白菜にしろ、ほとんどの食物が石油を使って生産している。極言をすれば、日本人は石油を食らって生きているのだ。
 とどのつまり、食料自給率を高めても、石油依存が続いている限り、日本の食糧自給率の上昇など、夢のまた夢ということだわさ。カッカッカッ(やけくその高笑い)