ひとりブタ

 昨日、隣町の駅前小ホールで立川生志独演会があった。通常は独演会といっても、弟子などを伴って開口一番、座布団返し、めくりをやらせる。しかし昨日は生志だけ、めくりも自分でやってたっぷり2時間3席を掛けた。

 1席目は「看板のピン」。

 これは四代目小さんから五代目、そして談志を経て生志と継がれてきた。博打場の噺で、親分が振った壺から外に賽が出ている。その目がピン「1」。それをみた子分たちはみんなピンに賭ける。ところがどっこい、親分は壺の外の賽を「看板のサイコロはしまって」と懐に入れて、壺を空けると「3」だから親分の総取り。子分が他所の賭場で真似をして大失敗というお粗末。

 2席目は「短命」。

 これはけっこう有名な噺。近所のお店のお嬢さんに婿が入るのだが、コロッと死んでしまう。これで3人目だ。八五郎は「どうしてでしょうね?」と隠居に訊ねる。隠居は「お嬢さんは絶世の美人だろう。その美女と昼飯を食ってご覧な。茶碗に飯を盛って手渡す時に手と手が触れるだろう。じっとお嬢さんを顔を見るだろう。短命だ」

 八五郎は家に帰って昼飯を食う時に、カミさんに飯を盛らせて手渡してもらう。じっと顔を見て「長命だ」と嘆く。これも四代目から繋がっている。

 3席目は「鼠穴」。

 これは人情噺で40分の噺の間、笑いが起きなかった。ずっと会場は静まったままで、オチをつけて会場は大拍手に包まれるんだが、民話のにおいが強いこの手の噺で300人近い客を飽きさせないのだから生志の力量は大したものだ。さすが談志の弟子だけのことはある。

 なにしろ2時間を1人でもたせてしまう噺家というのはそうそういませんよ。

 

 いけね!また今日も高橋さんの話ができなかった。高橋洋一さんのネタを練るには時間が掛かるんですわ。落語の噺ならチョイチョイチョ~イで書けるんですが(自嘲)。

 ちなみにタイトルの「ひとりブタ」は生志自身が自分をブタに見立てて「ひとり舞台」を洒落て公称しているもの。

 ということでまた明日。