昨日、名古屋市民会館で1年ぶりのSWAの落語を聴く。SWAというのは、新作落語の創作集団で、春風亭昇太、柳家喬太郎、三遊亭白鳥、林家彦いちの4人からなる。
このところ毎年、聴きに来ているのだが、ワシャにはどうも新作は馴染めない。やはり古典がいいんですね。先日、豊橋で聴いた志の輔の「井戸の茶碗」、感動しましたぞ。
午後6時30分開演。のっけに4人が舞台上に現れて、喬太郎が「今日は古典を聴けると思って来たお客さんはどのくらいいますか?」という問いかけに会場の2割ほどが手を挙げた。これに対して喬太郎は言う。
「芝浜を期待していた方は残念でした。今日は古典はやりません」
と、きっぱりと言い切る。
ワシャは端から古典を期待していなかったので「どうぞ」てなもんだ。
ネタは喬太郎が「八月下旬」、昇太が「心をこめて」、彦いちが「泣いたチビ玉」、トリの白鳥が「奥山病院奇譚」と、なんだか期待できないな~(笑)。
でも、4人のネタの前に《12月24日(木)SWAブレンドストーリー「心をこめて」》と記載してあったので、これはなにかが仕掛けられている。そこを楽しみにしておこう。
まず、喬太郎が高座に上がった。話は8月下旬に小学校4年生のケンイチくんが祖父の住む奥山という田舎町まで一人旅をするという噺で、東海道線の車内で人生につかれた女性たちの話を聞くというもの。なにしろ喬太郎の女性は特徴がデフォルメされてある意味怖いくらいの凄みが醸し出される。
ケンイチくんが田舎町について、迎えに来ていたお父さんと歩いている時に、子供の格好をしたおじいさんを目にする。ジジイのくせに黄色い帽子にランニングシャツ、半ズボン、虫取り網を担いているから異様に目立つ・・・ というような噺。
昇太は、自分の結婚を彷彿とさせるような夫婦の会話ものを演る。普通の会話をしたい妻と、会話をしたくない夫。夫が妻の求めに応じて話を始めると、城跡の話ばかりをしてしまうところなんかは、城好きの昇太自身なのである。
彦いちは、チビ玉一座の噺をする。世代交代を図りたい高齢のチビ玉と、まだ代替わりは早いと思っている座長の倅。このやり取りの中で、チビ玉が黄色い帽子、ランニングシャツ、半ズボンの出で立ちをしていることが判明する。
そして白鳥が「私の話はホラーです」と前置きをして、奥山病院で給食のおばちゃんのヨシエさんが救急車に乗れずに無念の死を遂げ、古い車に乗り移って・・・ここで、すべての前段の噺が収斂していくのであった。
いやはや、なんとも大仕掛けの落語であることか。おもしろい趣向ではあった。でも、ワシャは古典が好きでヤンス(笑)。