山また山の山添村

 なんだか奈良でも喧しい。

《奈良の村議ら6人も「コンパニオン宴会」で抗議電話殺到! 副議長を直撃すると》

https://news.yahoo.co.jp/articles/cd108261e0319e0bab7547d8828e85ee40d93b0e

 12月16日に村議6人が「コンパニオン宴会」をやったんだとさ。愛知県西尾市の「コンパニオン宴会」が明るみに出て大騒ぎになっているので、おそらく村議らのことを快く思っていない側から、チクられたんだね(笑)。

 まぁそもそも「コンパニオン」を呼んで宴会するなんて昭和の臭いがプンプンする。芸妓なら芸もできるが、コンパニオンなど話を合わせるだけで疲れてしまうので、それこそ昭和の時代に宴席に呼んで以来、記憶にもない。

 今回の西尾の件で、「まだコンパニオンなんて存在していたんだ」と認識を新たにしたくらいだわさ。

 ジジイの昭和のセンスはセンスとして、それでも奈良県山添村ですぞ。奈良市から東へ20キロ、名阪自動車道を走るとよく判るけど、すんげー田舎なんですね。西尾市の旧幡豆3町と比べても山の中の寒村といったところなのである。奈良県なんだけど、最寄りの町といえば三重県名張市で、ここですら7万5千人ほどの小さな町。山添には料亭とかないだろうから(あったらご免)、数キロ東の町まで出かけていったんだろう。

 申し訳ないけれど、この昭和のジジイたちが宴会をしたのは名張市である。二階幹事長が銀座のステーキ店で宴席を持つのとは、まったく状況が違う。ザギンですぜ。その周囲に何千万人いるとお思いか?東京である。昨日は884人の感染者が出ている。都心の周辺の県との交流人口を考えれば、ザギンの宴会がどれほどリスクがあるのかは想像に難くない。三重県内の25日11時時点での感染者は11人、四日市市で5人、津市、東員町伊賀市で2人となっている。

 村議のセンスのなさはさて置き、この状況で三重の山の中で宴席を持つことが、全国に報道されるほどのニュースなのかが疑問である。

 人口3300人というから、ワシャの住んでいる町内会程度の人口でしかない。その町内会でもね、理事会が終わると70代の古参理事が「飲みに行こう」と必ず言い出す。町内会事務所から歩いて5分程度のところにあるラーメン屋で、小上がりに7~8人がぎゅうぎゅう詰めになって餃子や回鍋肉をつつきながら一杯やるのが楽しみなんですな。

 感染拡大の第一波の頃に、「飲みに行くぞ」と声が上がり、ワシャが「〇〇さん、今の時期は止めておきましょう」と制止すると、「わかったわかった、お前は来なくていい」と他の老人仲間とともにラーメン屋の方向に消えていった。 次の理事会後からは声も掛けられなくなった。でも、老人たちは毎回、ワシャに悟られないようにラーメン屋に通っていたようだ。

 村議たちの感覚は、その程度ではなかったろうか。確かに、マスコミは「危機だ!危機だ!」と騒いでいる。しかし、人口密集度の高いワシャの町内ですら周辺で感染したという噂は伝わってこない。ましてや三重の山奥である。人に遭うよりも、猪に遭う確率のほうが高いようなところの住民に、都心で働くキャスターや識者たちが大騒ぎしても、どれほどの共感が得られるだろうか。そもそも環境が違うということを前提に考えろよ。同じ物差しで測っては根本を見失いかねない。

 西尾市議にしても、山添村議にしても、センスはない。これははっきりと言えるが、しかし全国ニュースでボコボコに痛めつけられるほどのことだろうか?

 一時、「マスク警察」というバカが蔓延ったが、今度は「宴会」をチェックするというバカな状況になってきたか。

 ワシャは2日前に、名古屋で落語を聴いてから市民会館裏の気の利いた店に友達2人とともに顔を出した。いい店なんだけど、それも落語のはねた後にも関わらず店内はがらんとしていた。店員に「お客が少ないね」と尋ねると、「こういった時期ですから」と苦笑をしていた。ワシャらは玄関で手指消毒と検温をしてもらって、座敷に案内された。そこでもソーシャルディスタンスを図り、さらにワシャの手製のハンディーマスクを各人に渡しての食事会になった。

 これだけやっても、食事をすることも酒を飲むことも責められるとするなら、国はさっさとロックダウンをして、すべての経済活動を停止すればいい。そのためにどれほどの自殺者がでようとね。

 武漢肺炎対策は大切である。しかし、国や自治体は、きっちりと情報を出して、まともな店やまともな客が普通に行動できるように便宜を図るべきだ。その上で、不正なこと、対策をきちんととっていない店や連中には罰を与えていくことが重要だと思う。

 こういった繊細なさじ加減が必要なやり方は、支那や欧米では難しかろうが、日本人ならできると思っている。

 庶民のささやかな楽しみの灯を消さずに、武漢ウイルスを撲滅していく。日本人は世界にそのことを見せていくことができる民族性を持っていると思っている。