悲しきリーダーたちの資質 その1

 コラムニストの勝谷誠彦さんが、東京電力勝俣恒久会長に厳しい。勝谷さんの発言を要約する。
 記者会見で「今回の被害について、勝俣会長が個人として賠償する考えはあるか?」と質問が飛んだ。これに対して勝俣会長は「プライベートに関わる問題なのでお答えは控える」と応じた。このことについて勝谷さんはこう言う。
《この場で「プライベート」という言葉が出るかね。いまや地球という惑星そのものに迷惑をかけている事態の最高責任者が「プライベート」だって?
 ここでひとこと「もちろんです」と言えるかどうかが、人間としての価値を決めるのだ。このヒトはダメですね。》
 確かに、勝谷さんの言われるとおり勝俣会長は潔くない。というか、糞まじめな爺だと思います。でもねぇ、この経歴ですから、なにか突飛なこととか、意外性のあることなど言えるはずもないしやれるはずもないと思いますよ。
http://www.tepco.co.jp/company/corp-com/annai/yakuin/subwin01-j.html
 東京大学を出て以来、東京電力のエリートコースを一直線、入社から死ぬまでのレールがきっちりと敷かれている。そこを針の先ほどのミスもせず、無謬で過ごしてこられたのである。人生の最晩年にきて、大どんでん返し。頼みの社長は病気になってしまった。こんな状況では、気の利いたことなど言えないと思います。

 さて、その頼みにならない社長のほうである。
http://jp.wsj.com/Japan/node_213642
《優しい、実直な人で、社内では誰も悪いことを言う人はいない。ただ、今回の危機的な状況を乗り越えられる抵抗力というかそんな図太さは無い》
 清水社長は、たぶん平時のリーダーなんだと思う。戦国時代の武将で引き合いに出すなら、駿河の国主今川氏真(うじざね)といったところだろう。闘争的ではなく、和歌をこよなく愛する風流人である。平時の冠として戴くにはもってこいだが、乱世になるとちと頼りない。肉体的なスタミナはあった。しかし、精神的にはタフではなかったようだ。
(下に続く)