百害あって一利なし

 今朝の朝日新聞社会面。

《山を削るメガソーラー》

https://www.asahi.com/articles/DA3S16100435.html

という大きな見出しが目に入って来た。要するに、東京電力福島第一原発で被害を受けた福島県の山を削ってメガソーラーを造るというもの。その規模は東京ドーム13個程度で、福島市内から西に観える吾妻連峰の吾妻小富士のドテッパラの森林を伐採し、支那製の黒々としたパネルを山肌に敷き詰めるという計画だ。

 グーグルマップで確認すると、もうすでに広大な面積が土壌がむき出しの状態になっているのが判る。

 おいおい、ワシャは福島市に何度も行ったことがあるが、市内から観える雪を頂く吾妻山系の山並みは、そりゃいい日本の風景だった。そのドッテッパラをかっ穿(ぽ)じって、太陽光パネルが黒々とうねっていくんですぜ。そんなものを福島市民が見たいわけがなかろう。福島に観光に行くワシャらだってそんな気持ちの悪い山など見たくないわい!JR福島駅からわずか10キロばかりのところに大規模な太陽光発電所って、許可を出したお役所の、知事だか市長だか知らねえが、想像力のないまったくの阿呆と言っていい。まぁ太陽光・風力を進める国策がマヌケなんだけど、この国のバカさ加減には呆れてしまう。

 武田邦彦先生つながりで言うと、先生は13年前、つまり東日本大震災の直後に『原発大崩壊!』(ベスト新書)を緊急出版されている。

 原子力発電の第一人者であった先生は、福島原発の事故について、いても立ってもいられなかった。先生は「後書き」でこう指摘している。

《「原発は日本に必要だから、原発は安全だ」という逆転の論理が事故の第一原因になり、東電社長の国会での「津波の想定が甘かった」という発言に見られるように、東電の甘さをまったくチェックしていなかったというお役所の無責任体質が第二原因でした。》

 まさに企業の甘さ、役所の無責任が福島原発事故を起こしたと言われる。その通りだ。そして、今、無責任なソーラーパネル会社が支那の奴隷労働で作成されたモノを日本の山を削って敷きまくっている。それを監督しているのがこれまた無責任なお役所だ。福島は再度、利権を追及するバカどもの犠牲になろうとしている。

 武田先生は、福島原発のことを語る中で「生物を死に追いやる自然エネルギーの正体」という章を立てて次のように言われる。

《まず、多くの方が誤解をしていますが、太陽光発電というのはすべての生物や植物に平等に降り注ぐ太陽光を奪っているのです。》

《そもそも、太陽光発電は場所を選ぶ技術です。》と前置きをして《ソーラーパネルが置ける平地でなおかつ南向きなんて条件のいいところは、だいたい人間が家を建てていたり、豊かな自然がある。つまり多くの野生生物が生きている、生態系に影響を与える場所ということです。》

 まさに13年前に、現在の状況を予測され、警告を発しておられた。しかし、国も地方の行政もなにも考えずに、笛に踊らされる愚者のごとく、テメエたちが言っていた「守るはずの生態系」をぶち壊してやんの。それもこれも為政者や起業家や彼の国が「事実を見る勇気」、「科学を尊重する意識」、「ウソをつかない誠実さ」を失ってしまったからに他ならない。この3つはやはり武田先生が言われていることである。

 

 あああ、今日の朝日新聞地方版に《県と名古屋市誘致をめざす 27年アジア開銀総会》という記事があって、そこに仏頂面の愛知県知事と笑顔の名古屋市長の写った写真があった。

 これに関して物申したく、さらに大村知事に関しては武田先生が12月4日の「ニュース生放送あさ8!」で語っておられたことが興味深かったので、今日、書こうと思っていたが、そろそろ出かける時間になってしまった。ということで、武田先生の「大村評」は明日のココロだぁ~。

 

 参考までに《先達山太陽光発電施設 特設ページ》のURLを貼っておく。

https://www.city.fukushima.fukushima.jp/kankyo-o/sendatsu_tokusetu.html