遊びをせんとや生まれけむ

 今朝の朝日新聞「折々のことば」。元マラソンランナーの増田明美さんのインタビューから。

《昔、修行僧のように走っていたら、ピクニックに行くようにして完走したマラソンの先輩に楽しまないと続かないよと言われ、人生の走りまで変わったようだ。》

 なるほど、マラソンでも楽しく走ることが大切なんですね。でね、NHK大河の『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』の25話「灰降って地固まる」で、浅間山噴火により江戸市中に降り積もった火山灰の処理に一計を案じた。苦でしかない灰片づけを町ごとに競わせることで苦行を遊びに変えるというものである。主人公の蔦屋重三郎はこう言う。

「遊びじゃねえから遊びにすんじゃねえですか。面白くねえ仕事こそ、面白くしねえと」

 これだった。

 ワシャと一緒に仕事とかイベントごとをした人には思い当たる節があると思うんですが、ワシャは何事も遊んで進めるということをベースに置いてやってきた。それこそ中学校の体育大会からそうだった。

1200人規模のマンモス校で、体育大会に仮装行列をやる。この準備に生徒たちは何日も関わった。時代が今と違うからなんだけど、多数の生徒が学校で夜遅くまで仮装行列の衣装から、大名駕籠や西部劇の幌馬車まで、出し物に使う小道具、大道具を制作してきた。

それを指導部の教師たちが「今年から中止だ」と言い出した。その時の生徒会長が生徒議会で怒ったねぇ(笑)。

「これは凸凹中学の伝統である。何十年も続いてきたものをワシャの代で中止にすることはできない!」

 教師たちは混乱したが、その生徒会長の発言に多くの委員が賛同し、結果として民主主義を子供に教える生徒議会ということで、多数派を形成した生徒会長の意見が可決された。

 苦虫を噛みつぶしたような表情で指導部顧問は「全部おまえらの責任だぞ、いいな」と捨て台詞を吐いて生徒会議室を後にしたのである。その後、生徒議会室に歓声が上がったのは言うまでもない。

 指導部が責任回避をしたことがかえって是となった。すべて生徒会の責任ということで、教師たちは夜の準備にも顔を出さなかった。子供たちにしてみれば、親に「生徒会の仕事」と堂々と言って、夜遅くまで学校で遊んでいられる。市街地の北部の競技場や田んぼに挟まれた学校で「体育大会の準備」という名目で大騒ぎができるのである。

 無論、体育大会は大成功だった。なにより準備に駆け付けた生徒たちの結束は一層堅くなった。苦役を「遊び」に変えた生徒会長のお手柄でしたね(笑)。

 中学生の時に、味をしめてしまったワシャは人生を遊んで過ごしてしまったようだ。それを増田明美や蔦重が裏付けしてくれたのでホッとしている(笑)。