昨日、ちょいとした祝賀会があった。150人を超える出席者だったので、「ちょいと」でもないか。
主役はワシャのよく知っている人で、その関係者ということで列席した。上座のほうには、国会議員や市長、地方議員や各界のお歴々も居並んでいたので、格としてはけっこうな宴と言えるだろう。
まぁこの手の会のお決まりなんだが、なかなか宴には入れない。とにかく挨拶が長く、開会の言葉も「開会宣言」だけでなく祝辞やら主役との思い出話が盛られて、下々にしてみれば早く飲みたいばっかりなんだけどね。それから何人もが演壇にあがり、軽く40分を費やしてしまう。それでも予定されていた挨拶は終わっているので、さあ乾杯かと思いきや、「祝電を披露します」と司会者が言った。祝電披露ならそれほど時間も取るまいと思ったのだが、これが極めて長い祝電だった。祝電だったので、定型文だろうと思って耳をそばだてていなかった。だから内容も今一つ定かではないんですね。でもあまりの長さに驚いて、後半を聴いてしまった。古典から引用したような小難しいことを延々と祝電に書いて送ってきた阿呆がいたんですね。
その人の名誉のために名前は出しませんが、長~~く公職にあって、最近、その公職から身を引かされ暇になってしまった人物。本来なら上座に座るべき立場だったけど、引退させられたので当然のことながら呼ばれませんわなぁ。
悔しくてなのか、文章を書くのが好きなのかは知らないが、長~い祝電を送ってきたのでありました。ワシャはこれほど長い祝電を人生で初めて聞きましたぞ。聞いてなかったけど。
どんどん宴が遅れていくので、ワシャの周囲の人もイライラしていた。それをなだめるために「ぐだぐだと長い祝電だな、昔から場所をわきまえないセンスのない野郎だった」と今は只の人となった男を腐してやった。同じテーブルの人にはそれが聞こえたようで、何人かは失笑をして気を紛らせたようだ。
それでも、開会から1時間かからずに宴に突入した。そうしたらね、上座の偉い人が一人そそくさと退場していくではないか。宴にも参加せず帰るとは、偉い人はいろいろ忙しいんですね。
でもこちとら偉い人ではないので、宴が始まったら宴を楽しみますぞ。同じテーブルの人達とビールを注ぎ合い乾杯し、熱燗をいただき、それなりの料理を肴にして盛り上がったのだった。
20分くらい経過しただろうか。司会者が「それではここで落語をお楽しみください」と言う。おいおい、落語家まで呼んでいたのか、すごいな。ただ、落語って宴で盛り上がっているところでやる芸ではないんだが・・・。
と、思っていたら、先ほど退席した上座の偉い人がスーツから和服に着替えて入ってくるではないか。
えええ!宴たけなわの状態で素人落語をやるの?
無謀だ。シンと静まり返っている公民館の研修室だって、素人落語では客は気を引きつけられない。ましてやこんな大きなパーティールームで、客はめいめい酒や会話を楽しんでいる。
聞いている(ふりをしている)のは、高座となった舞台から顔の見える上座の3テーブルくらいの面々だけ。
舞台から遠く離れたワシャらのテーブルで、偉いさんの素人落語を聴いているものなんか皆無だった。演目がお店噺の「寝床浄瑠璃」だったら大笑いなんだけど、やたら枕が長かったので、聞いているふりの何人かも、トイレに立つような格好で席を外してしまう。なんだか古典落語もやったようだが、下々の席のワシャらにはまったく聞こえませんでした(大爆笑)。
そんなこんなで夜が更けていったのでありました。