基礎自治体首長論

 今朝の朝日新聞。地方版に「豊田市長選」の記事が大きく載っている。見出しは《崩れた「慣例」一転激戦》、この記事をネット上で探したけれど朝日新聞はUPしていないのか、見つからなかった。これは中日新聞の記事です。こっちもチラ見せですが(笑)。

豊田市長選挙、長年の慣例崩れ「自民VS労組」の構図に 現職と県議が出馬へ》

https://www.chunichi.co.jp/article/822930

 朝日新聞を搔い摘む。

 現職の太田市長が「長年の慣例」を破って4期目に出馬をする。トヨタと自民系の妥協により色のついていない市職員から4人の市長を選んできた。3期12年が4人だから、48年もこの安定したかたちが続いてきたことになる。それが崩れたということが記事になっている。

 ワシャは地方行政に一家言持つ者である。

 地方自治体の首長は3期12年で全うするのがもっとも適切だと考えている。市の総合的な計画は8年から10年で立てられるのが通常だ。計画準備期間を含めて12年あれば充分に首長の構想は実現が可能なのである。

 それを実施したらさっさと身を引く。これが重要なことで、国会議員もそうなのだが、首長もそれを家業化すると引き際が汚くなる。

 本来なら69歳になり、後進の職員から優秀な人材を選んで、3期で潔く身を引けばよかった。そうすれば波風を立たなかったろう。だけど、どこかに未練があったのかニャ?

 とは言うものの、市議会の自民系会派が「4期は容認できない」と言うのも、昨今の自民党の不祥事、不出来さを考慮すると、ここに単純に首肯することはできない。

 とくにその豊田自民の頭に立っているのが八木哲也衆議院議員である。この人、実は前回の総選挙には出ず、引退をする予定だった。強力な対抗馬だった労組系の古本伸一郎氏に一度も勝てなかった。比例復活が3度になると、4期目の推薦が受けられないという党内事情もあって、古本氏が出る以上、引退の選択しかなかった。

 でも、古本氏は出馬せず、棚から牡丹餅方式でようやく4期目の選挙区当選を果たした。そんな「辞めようか、辞めるのよそうかな」などと逡巡する人物がまともな政治ができるとも思えぬ。厳しいようだが、豊田市民のことを考えると「適当な政治家は要らない」と強く思う。

 まぁでも国会議員なんて昨今の騒動でもわかるようにロクでもない議員のほうが多いけどね。愛知県内だって、行方をくらましてしまった池ちゃんとかカンちゃんとか、「有権者買収」の疑いをかけられているクーちゃんてのも出てきた。変なのばっかりだよね(泣)。

 おっと首長の話だった。

 県内には、4期目を目指した市長を「長期政権はダメだ」と声を上げて、3期で市長を引きずり降ろした人物がいる。

 でね、自身が市長をやってみたら、これがおもしろかった。何もしなくても仕事は部下がやってくれるし、市民からは「市長市長」と持て囃されるし、もちろん給料もいい。どこに行こうと公費で行けちゃうしね。だからテメエが「長期政権だ」と責めて引きずり降ろした前市長の期数を2つも越えて5期もやってしまった。

 その市長の例を見ると、4期目から5期目に市長周辺にはイエスマンばかりが重用されるようになった。副市長ですら陰では悪口を並べるが、市長の前に出ると「イエスエス」のオンパレードだった。その市長も6期目の出馬に色気を出したところで、引導を渡されたけどね(笑)。

 これが長期政権の悪いところで、「3期12年がちょうどいい」というワシャの主張の根拠になっている。

 そしてもうひとつの意見として、基礎自治体の首長は職員上がりでいい。

《体調不良…町長が辞職、心労で休職中だった》

https://news.yahoo.co.jp/articles/fbabde9869674c554770869c32bb6658d2dd5772

 埼玉県皆野町の町長がその職を辞した。

《柴崎氏は「行政職は初めての経験ということもあり、さまざまなストレスが体調不良の要因だった」と病状を報告》

 素人が突然入ってきて業務を差配しようとしてもかなりの無理がある。ここに行政を知っている職員上がりの市長がいいという根拠がある。

 

 豊田市民にとってベターな選択は、大田市長が3期で辞し、職員から優秀な後継者を選んでおくことだったろう。しかしもう手遅れだけどね。