国破れて山河あり

 昨日のBSフジ「プライムニュース」。お題は「若手&中堅議員に問う 中間とりまとめ是非は 解体的出直しは可能か」というもので、自民党から4人の衆議院議員が出演した。無派閥から当選5回の牧原秀樹氏(東大、弁護士52歳)、安倍派から当選5回の越智隆雄氏(慶大、世襲・59歳)、二階派から当選4回の大岡敏孝氏(早大、市議、県議50歳)、麻生派から当選2回の高村正大氏(慶大、世襲53歳)というメンバーである。

 

 実はこのニュースを見る前に、作家の百田尚樹さんの薦めもあって、パー券キックバック問題で辞表を提出した長崎3区の衆議院議員谷川弥一氏の記者会見を確認した。これね。

谷川弥一氏の記者会見》

https://www.youtube.com/watch?v=1unFopkC6lQ

 1時間40分という長尺の記者会見だった。ある意味で突き抜けたバカさ加減で怒りを通り越して感動に近いものまで湧いてきた。谷川弥一という愚か者の人間ドラマとしては完成している。会見は「私が悪い」の一点張りで、これを言い方を変え、トーンを変え、表情を変えて記者たちにぶつけ続けた。この変化もそれなりにおもしろいが、最後の最後、会見が終わって、記者会見場からエレベーターに向かう時の表情には、これは歴代の悪役俳優でも出せない達観が現れていた。

 

 大臣になろうと必死に金を集めた。それでも安倍さんは認めてくれず、俺を大臣にしてくれなかった。必死に金集めに奔走した結果が、議員辞職公民権停止か・・・衆議院議員になった時には天下を取ったくらいの高揚感があったが、こんなかたちで政界から追い払われるとは・・・いずれは佐世保の駅前に銅像くらい立つと思ったが、それも夢のまた夢か・・・。

 

 ワシャにはそんな表情に見えましたね。さて、この爺様、これからどうやって起死回生を図っていくのやら。記者会見の中では、長崎県政にまだまだ未練があるようなことを言っていた。土建屋としてのベースはあるのだろうし、議員で稼いでもいる。公設秘書をやっていた娘もしこたま貯めているだろうから、活動する費用は蔵にたっぷり蓄えてある。政治に未練があるならば何らかの行動に出るかもね。

 ここは、いっそのこと裏金と認定された4000万円を、そのまま能登半島の被災地に寄付をするというのはどうだろう。おそらく谷川氏の財力をもってすれば、それほど厳しい金額でもない。それをやれば「さすが谷川弥一」と褒めてくれる人もでてくるのでは?

 でも娘を秘書にするくらいせこいヤツなので無理な話か(笑)。

 

 話を戻す。「プライムニュース」の4議員である。

 そりゃぁ谷川議員とは違いますわ(笑)。牧原氏は東大、弁護士ですから発言は理路整然として、反町キャスターの疑問に的確に答弁している。まぁ官僚答弁の出来のいいくらいの話ですが。

 世襲の2人も「派閥不要」と「必要」で論陣を張っていて、とくに2期目の高村氏は、麻生さんを背負っているのでしょう、頑張って必要論を述べている。2人ともお育ちがよろしいから、谷川氏のような失言はしないし、その代わり味は出ない。

 興味を引いたのが大岡氏だった。経歴を見ると、市議、県議から衆議院議員に登ってきたいわゆる「党人派」と呼ばれるカテゴリーに入る人。谷川氏とご同様の叩き上げである。世襲がいて、官僚上がりが幅を利かす。そこに芸能人などの著名人グループが加わり、適度に党人派が混じって自民党が出来上がっている。

 その党人派、最近の例で挙げるとすると、愛知5区の滞納大王の神田憲次氏、パー券3人衆でパチンコ議員でもあった池田佳隆氏もそうですな。それから口の軽いオリパラ大臣だった櫻田義孝氏なども・・・と書いてきて、今、ハッとした。

 大岡氏に加え、3人を列挙したが、4人がよく似ていませんか?目がつねに嗤っていて、国民をバカにしているというか卑下しているように見える。目の下の軽そうな唇は薄く余分なことにはよく回りそうだ。

 ううむ、おもしろいテーマかもしれない。「政治家と顔」、これを突き詰めていくと結構まともな論文が書けそうだ。

 とはいえ、大岡氏は憲政史研究家の倉山満さんがかっていることもあるので、もう少し様子を見ようと思っている。だけど「プライムニュース」の中で、台湾とパレスチナを同列に並べて論じていたところは二階親分の影響が大きいか。この点は注意だな。

 越智氏は世襲仲間の福田康夫氏と安倍派解体に動いたという経緯がある。この人も気を付けてみていきたい。

 それにしても、トンデモ議員にはまだまだ程遠く、高村氏、牧原氏は幾分まともそうなので、谷川氏に国政を任せるよりはいいだろう。しかし、所詮は自民党、これからどう自浄作用を起こしていくか、あるいは起死回生の総裁交代ができるかどうか、ここに注視をしていきたい。なにしろ令和の山県有朋では、いずれ国が亡ぶ。