名古屋城の画期的な解決策

 作家の井沢元彦氏が今月号の「月刊なごや」に緊急寄稿をしている。題して《「おもてなし協力隊」の設置を》である。

 概要を言えば、「名古屋城に身障者用にエレベーターをつけるのは身障者の行動範囲を広げるという意味で正しい。また、歴史的復元物に対してそういった改造を加えてはならないという主張も正しい」ということをまず認め、ではどうするかを提案されている。井沢氏は「おもてなし強力(ごうりき)隊」を設置せよと言っている。「強力(ごうりき)」というのは、数十キロにも及ぶ大量の荷物を山小屋まで担ぎ上げる人、ヒマラヤで言えばシェルパのような役割と言っていい。

 井沢氏は「おもてなし強力隊」と呼んでいるが、ワシャは「名古屋シェルパ隊」のほうが格好いいと思っている。以下は両者の折衷案で「おもてなしシェルパ隊」とでも呼んでおくか(笑)。

 歴史に詳しい井沢氏は、「身障者が、歴史的な山城や城跡に登りたいと願ってもほとんど不可能だ」という。

 確かにそのとおりで、ワシャの好きな愛知県作手にある古宮城など、ちょっとした登山をする気で向かわないと難しいくらいの城跡なのである。健常者でも登れないかもしれない。そんな城に身障者が登るのはそもそも不可能であって、「だったら平等に登れるようにルート整備をしろ」と人権原理主義者は主張するかもしれない。行政が負けて、古宮城に身障者が城巡りできるような遊歩道を建設する。当然、急峻な坂ばかりだから土塁は削り、堀は埋め、あちこちにエスカレーターやエレベーターを設置することになろう。そうするとどうなるか?歴史的に極めて重要な武田型の城跡は完全に破壊されることになるのだ。

 名古屋城のエレベーターの議論もこれと同じことである。「正しさ」のぶつかり合いだから収拾がつかなくなっている。

 その上での「おもてなしシェルパ隊」の提案である。その具体的な活動形態は井沢氏の「月刊なごや」への寄稿に詳しいが、ワシャ流で解説すると、名古屋市内にいくつもの大学があり、そこにはラグビー部から柔道部、スポーツ選手たちが数多存在する。彼らにアルバイトとして名古屋城天守の下で待機してもらう。とりあえず4人も常駐してもらえばいいだろう。2人1チームで、1人がこのアルミ製の背負子

https://shop.asaka-ind.co.jp/view/item/000000006843?category_page_id=ct286

に「自力で天守まで登れない人」を乗せる。もう一人が背後から落下しないように補助をする。これならば、時間を決めて1日4時間程度、土曜、日曜は利用者も多かろうから8時間として、週に5万2000円、1年に換算しても270万円、10年で2700万円。エレベーターを設置すればそれこそ何億ですよ。井沢氏の提案された「おもてなしシェルパ隊」がいかに安価で、学生たちのボランティア精神を養うことにもなり、かつ彼らのトレーニングにもお小遣いにもなるわけだから、一挙鼎得ではあ~りませんか。ワシャは井沢氏の提案に大賛成である。

 平成29年に拙日記でこんなことを書いていた。

名古屋城について》

https://warusyawa.hateblo.jp/entry/20171117/1510872436

《ワシャの父親は城好きだが、高齢になって膝を悪くしたので、エレベーターのない天守閣へは行けない。本人は「外から名古屋城の勇姿を観られればそれでいい」と言っている。完成したらワシャはおぶってでも天守閣に登らせて上からの景色を観せるつもりである。》

 ワシャ自身がシェルパをするつもりでいたし、この方法が一番適切だとも思っていた。井沢氏の提案は、まさに我が意を得たりであったのだ。

 

 もうひとつ、余力があるので触れておく。

丸山穂高氏がNHK党・斉藤健一参院議員の公設秘書就任「北方領土を取り返す」》

https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/275240

 これはおもしろい動きだ。丸山穂高氏は、かつての同僚だった国会議員たちと比べても数段上のモノのいい人物である。まっとうな保守主義者で、発言には説得力があり、是非とも国政に戻ってほしい人だった。百田新党(仮)にとも思っていたのだが、公設秘書になるというのも悪くない。

 また、丸山氏を公設秘書にした斉藤参議院議員がなかなかまともだ。記事を引く。

《斉藤氏は私設秘書として、ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏、ピーチ・ジョン創業者の野口美佳氏らを起用している中、公設第2秘書が空席となったタイミングで丸山氏も起用となった。斉藤氏は自身の公式ユーチューブチャンネルに丸山氏と出演。斉藤氏は「議員はピエロでいいと思っている。丸山さんに入っていただくのは僕のサポートというよりも丸山穂高のこの頭の中をどうやって使っていくか」と丸山氏起用の狙いを明かした。》

 これである。政治家、とくに国政を担う国会議員は、テメエ1つの脳味噌では、それがいかに優秀であろうともなかなか思うようにはいかないものである。支える優秀な頭脳をどれだけ集められるか。そしてそれをどのように制御していくかが、政治家の本質だと思う。

 テメエのことを「僕チン一番頭がいいもんね」と思った瞬間にバカ地獄に落ちる。その例には事欠かなかったでしょ(笑)。

 政治家が自身の鼎の軽重を知ること、このことが最重要なことである。くれぐれも鼎の中にクソを満たすのだけは止めてくれ。