ことさらに「差別」を強調する者ども

 記名で記事を書いているので名前を出してもいいだろう。朝日新聞の寺沢さんである。今日の朝刊の地方版の特集「名古屋城はだれのもの」を書いている。題は《会場は同調の拍手・・・現場で感じた息苦しさ》。それよりも大きく見出しをが打ってあって《市民討論会 激しい差別発言》と、やはり「差別」が前面に出てくる。全7回の連載だそうな。

https://www.asahi.com/rensai/list.html?id=1953

 楽しみだなぁ(笑)。楽しみだから、まず初回からいろいろと指摘しておこう。

 この記者はこう書いている。

バリアフリーの充実を求めた車いすの男性(70)に対し、ほかの参加者が差別発言を浴びせかけた。》

 ほう、どんな「差別発言」をしたのかな?

「平等とわがままを一緒にするな。市長が造りたいのはエレベーターも電気もない時代のもの」

 え、これが「差別発言」?「平等とわがまま」は一緒にしてはいけない。そんなことは当たり前だし、河村ミャーミャー市長が造ろうとしているのは本物の木造の名古屋城だ。この発言のどこに「差別」があるのだろう。

 寺沢記者は、「平等とわがまま」の部分に「差別」を敏感に嗅ぎ取ったと思うが、そいつはちょっと勉強不足だぜ。

この間も、思想史家の鷲田小彌太先生の『日本を創った思想家たち』(PHP新書)を紹介した。この中で、現代後期の思想家として紹介されている福田恒存の著作くらいは読んでおけよ。少なくとも新聞記者、天下の朝日新聞に署名入りで記事を書く人なんでしょ(笑)。

 福田恒存『私の幸福論』(ちくま文庫)の第一章「美醜について」、第二章「ふたたび美醜について」は、「男と女」のことを書きながら、「健常者と障害者」のことまで敷衍(ふえん)して書いている。

《私は、生まれながらにして、どうにもならぬことがあるといっているのです。(中略)そういう社会を徐々によくすることも必要ですが、いくらよくなっても、程度問題で、不公平のない社会はこないし、また、それがこようと、こまいと、そういうことにこだわらぬ心を養うことこそ、人間の生き方であり、幸福のつかみかたであるといえないでしょうか。》

 いつまでも、「差別だ差別だ」と喚いているだけでなく、建設的に全体の幸福を考えていこうよ、朝日新聞さん。

 

 9月6日の日記に「名古屋城の画期的な解決策」

https://warusyawa.hateblo.jp/entry/2023/09/06/094913

という日記を書いている。

 ここで紹介した作家の井沢元彦氏のプランなら、木造再建を主張する人たちも障害者も双方が納得できるのではないか?

 障害者を安全に天守の上まで担ぎあげる「名古屋おもてなし強力隊」を近隣の大学の柔道部、ラグビー部などスポーツクラブの強者どもにアルバイトで対応してもらう。なんなら彼らに「おもてなし武将隊」のように戦国時代の足軽の衣装をまとってもらって障害者の方々に戦国気分を味わってもらってもいい。

 このことも何度も書いているが、ワシャの高齢の父は犬山生まれということもあって城好きで、ことに天守から四方の風景を観ることを楽しみにしている。だから名古屋城天守閣が木造で再建された際には、急な階段を背負ってでも天守に登らせて名古屋の街を俯瞰(ふかん)させようと思っている。

 もちろん「おもてなし強力隊」がいれば、是非ともお願いしたい。3000円くらいなら払いますぞ。安いものじゃないか。