執念の走り

 この日記で22回も取り上げていたのか~(遠い目)。日本維新の会鈴木宗男氏のことである。5日前の5月11日にも「ロシヤ渡航断念」の関連でごにょごにょと書いたけれども、この日記を書き始めた平成16年(2004)にも鈴木宗男に批判的なことを書いていた。

https://warusyawa.hateblo.jp/entry/20040712/1089586085

 終始、この親ロ派議員に対しては批判的な論調を貫いてきたんだね。偉いぞ、若きワルシャワ自画自賛バカ)。

 それでもね、ワシャの書庫には鈴木宗男氏の本がある。ホント、なんでもあるような気がする(バカ)。

それは、2008年に上梓された『ムネオ流マラソン術』(講談社)というマラソン自慢本だった。内容は帯にある《60歳、胃ガン手術経験あり。会合、出張数知れず。バッシングを耐え抜く「全身政治家」。それでも私は「東京マラソン」を3時間台で乾燥しました!》ですべてだ。

政治家がフルマラソンを3時間台で完走することは大変なことで、それは大したものだと思う。

 しかし、フルマラソンを走ったからと言って、その政治家の生き様が正しいかどうかは別の話である。

 この本の面白いところは「あとがき」にある。冒頭をこう書き始める。

《私はかつて権力の側にいました。そのころの私は前しか見ていなかったので、周囲からは「ギラついている奴」「きっと何かやっているに違いない」と見られていたのかもしれません。》

 この時、鈴木氏60歳。若いころから激情型で、自分の意見を主張するために、怒鳴る、捲し立てる、相手に口を挟ませないなどのやり方は見ていて辟易としたものである。この「あとがき」を読んで「自覚しているじゃん」と思ったことを記憶している。

 しかし、鈴木氏は好きになれなかった。この人のエピソードで「人生で一度も映画館に行ったことがなく黒澤明を知らなかった」というものがあって、ああ、この人の人生は文化とは程遠い地平を歩いてきたんだな~と思い、歴史・文化の好きなワシャとは絶対に交わることのない人だと感じた。まぁむこうは参議院議員でこっちは庶民だからそもそも相手にされないけどね(笑)。

「あとがき」の後段で鈴木氏はこう言っている。

《人生に失望や挫折はついて回る。しかし正直に信念を持って生きていけば、いつか人はわかってくれる》

 鈴木氏、「信念の人」というより「執念の人」だった(過去形)。その「正直な執念」は、間違っている。少なくともロシヤに向ける執念の思いは間違っている。黒澤明をまったく知らなかったように、もしかしたらロシヤのことや国際情勢について、まったく知らなかったりして。

 残念ながらここまでの政治家人生は、普通の人々には理解されないだろう。この人の経歴を見ればついていけないからね。早々に政界から退場されることを希望する。