成人式

 ちょっとした関わりがあって地元の成人式に出席した。体育館のアリーナに1000席の椅子を並べて、2回に分けて行われる。

 やっぱりどこにもバカは一定数いるんだね。沖縄で大騒ぎをして全国ニュースになったバカたちがいましたよね。あれを模倣したか、金綺羅の羽織袴に金髪のでかいリーゼントを決めて、旗に自分の名前をでかでかとやはり金文字で大書し、それを担いでいる。そんなのが数人いた。そいつらを含めたバカが20人くらいか、アリーナ席には着かず、2階の父兄に開放された席の一角に陣取って奇声を上げたりしていた。

 ただ大多数の成人たちはまじめに式に臨んでいるのである。少しムッとしたワシャは、式典の進む舞台方向とは反対側の2階のバカどものほうに向き直り、2階のバカどもにメンタンを切った(※メンタンとは「メンチ」とも言い、ヤンキーが喧嘩を売る時に相手の目をバカにしたような表情で睨むこと)。

 ワルシャワ波動砲を放とうとも思ったんだけど、そうするとそれが式典の邪魔をすることになるので静かなるメンタンにしたのだった。 実はね、その中のリーダー格と会場前でちょいとしたご縁が出来ましてね(笑)。もうすでにワシャがそのボウズにアヤづけをしていたんですわ(※アヤとは「インネン」とも言い、他者にちょっかいをかけたりからかったりすること)。

 式典の前にたまたま会場に向かう大通りでそいつらが旗を背負って肩で風を切って歩いていた。ワシャはというとなぜかその歩道にスピーカーを据えてマイクパホーマンスをやっていた(なんのこっちゃ)。

 通りかかったその子らを見て、「いじってやれ」なんて思いませんよ。ホントに格好よかったから、「ニイチャンたち決まってるねぇ」と呼びかけた。「リーゼントもスゲーな、庇みたいで(笑)」と褒める。

 なにか言い返してくるのか・・・と様子を見ていたが、険しい顔で舌打ちをしただけで過ぎていった。な~んだ、つまんねーの。でも、ワシャはひねたそいつらを応援したかった。だから去っていくその背中に「がんばって突っ張るんだぞ」と声をかけたのだった。

 そんなことがあっての会場なんですね。だからヤツらも来賓席から舞台とは反対の方向にいる自分たちを睨んでいるオッサンがさっきのマイクの人物だと判ったのでしょう。2分程(計ってませんが)で奇声は止み、その後、私語もしなくなった。いい子たちじゃないか。

 彼らが特殊かというとそうでもない。それこそ自分が20歳の時のことを考えても、それほど劣化が進んでいるとも思えぬ。ワシャの時にも奇抜な格好をして目立とうとしているヤツらはいたし、そいつらは本当のワルかというとそうでもなく、どちらかというと村の青年団に近いアイデンティティを持っている若者たちだった。

 女の子たちは振袖で妍を競っている。この町は「20歳のお祝い」ということで式典をやったけれど、これが成人=18歳となると、高校生の世代が対象となり「成人」がぼけて振袖業界も厳しくなるのではないか・・・。また、振袖のオジョーちゃんたちの中に、長い袖を椅子の脇にだらりと垂らして床に引きずっている娘が何人か見受けられた。袖は肘のところで折って膝の前にきちんとしておこうね。そうすると袖が汚れないからね・・・とかいろいろ考えさせられ、式典はあっという間に終わってしまったのだった。めでたしめでたし。