アンフォーレ落語会

 まずはどうでもいい噺から。

《ミニーマウスがパンツスーツ姿に、3月お披露目へ ディズニーランド・パリ30周年》

https://news.yahoo.co.jp/articles/c0f9ce249e2f3214e6a0e383be2c5a1d3da64a0a

 ワシャはミッキー・マウスにもミニー・マウスにもディズニーランドにもまったく興味がない。東京ディズニーランドが開園した時には物珍しさに行ったけど、あまりのバッタモノさに驚いて一度で懲りた。だからこのニュースもどうでもいいんだけど、そもそもミッキーもミニーも同じ被り物で、まつ毛が付いているか、リボンを着けているか、赤いワンピースを着ているか、くらいしか区別のしようがない。顔も耳も口もまったく同じ造形だから、赤いワンピースだから「女の子かいな」と思うくらいだ。それがブルーのスーツを着てしまえば、リボンもブルーになっていると、ワシャにはミッキーだかミニーだか区別はつきまへんで。

 

 昨日、安城市の駅前にある図書館で「アンフォーレ寄席」なるものが開催された。もう7年にもなるという。いったい誰が始めたんでしょうね(笑)。仕切り役は、初回だけ大師匠の瀧川鯉昇にお願いした。その次からはずっと桂鷹治で、今回も2席をつとめている。ゲストは落語ではなく講談師を持ってきた。大坂から旭堂小南陵(きょくどうこなんりょう)、東京から一龍齋貞奈(いちりゅうさいていな)である。 おそらく落語の生を聴いたことがある人は多かろうが、講談ともなるとなかなか縁がないのではないか。神田伯山がブレイクしているが、通以外で、その他の講談師を聴いている人も少なかろう。実は講談はおもしろいんですね。そういった意味で今回の企画は当りだった。

 司会の女性職員が「小南陵」を「あさひどうこなんりょう」と紹介したのはご愛嬌で、ワシャは椅子から滑り落ちたが、そこは小南陵、「かつてはそう呼ばれていたこともあって必ずしも間違いではない」とフォローするところなんざ、さすが20年のベテランだ。声もいいし、見栄えもいい。個人で大阪市此花区に講談中心の「此花千鳥亭」をDIYで造ってしまう行動力はなかなか見どころがある。

 貞奈のほうもがんばった。ネタは「源平盛衰記 那須与一扇の的」である。ここでは武漢肺炎ネタも入れこんで笑いを取っていた。それにしても講談というものは落語よりも女声に合うと感じた。確かに東西の講談師をみても女性の割合は落語よりも多い。これはおもしろいものを見つけたわい。

 さて、鷹治である。ワシャは鷹治を10回くらい生で聴いている。最初は前座だった頃の「図書館落語会」だったが、これは鯉昇師匠と2人寄席になってしまったので、圧倒的な差を付けられてしまいましたわな。それでもそののち精進をし、まもなく二つ目に昇進し、それから徐々に実力をつけてきた。風貌が風貌なので落語家向きと言える。今回は「堪忍袋」と「大安売り」をかけてきた。今回は比較する落語家がいなかったこともあって、それに二つ目になって5年余も修行しているのだろう。なかなか聴かせる落語になってきた。これで上手に枯れてくると言い感じになってくるのでは・・・と縁をもった者として楽しみにしたい。

 それよりなによりおもしろかったのが、ワシャの斜め前に座ったバアサンだった。こいつがハチャメチャだった。ソーシャルディスタンスで1席離れてジイサンがいるんだが、こいつとの私語が絶えない。「うっさいなぁ」とババアに聞こえるように何度か言っていたら、それは止んだ。

 そしたらね、鷹治の最中に館内放送が流れた。

トヨタアクア○○-○○でお出でのお客様、至急駐車場までのお戻りください」

 これが繰り返し落語の邪魔をしたものだから、鷹治は噺を中断して、「どなたですか~手を挙げてください」と言うのだった。

 そしたらワシャの前のバアサンが手を挙げたのである。そしてホールから出ていった。  さらに戻ってきて2度ケータイを鳴らして、1度目は席で話していやぁがんの。さすがに2度目を鳴らしたときには「いい加減にしろよ」と強く言ってしまった。講談の時にはそっくり返って寝ているし、ババア、なにしに来ているんだ!

 それで最後の抽選会では、鷹治たちのサイン色紙を当てて持って帰っていったのである。  寄席にあるまじきババアの一連の行動が、今回の落語会で一番ワル目立ちしていたのう。