安城落語会のことども

 昨日、NHKのBSプレミアムで「プレミアムカフェ選」 https://www.nhk.jp/p/pcafe/ts/LR4X1K4WV7/schedule/

で、ハイビジョン特集の「立川談志71歳の反逆児」

https://amass.jp/151558/

が放送されましてね、午前中の放送だったんで、録画して帰宅してからルービーを飲みながらゆっくりと拝見しました。

 それにしても、改めて談志の「天才性」を再確認しました。とくに一門の前座の二つ目昇進試験のすさまじさは如何ばかりであろうか。天才談志の価値観に合わなければ二つ目にはなれない。5人の前座が料亭の一室で談志の試験を受けるんだけど、その5人の緊張感たるや、ブラウン管越しに見ているこっちまで緊張してしまいましたぞ。甘さや妥協のない厳しさを見て、「ああだから立川流には落語巧者が多いんだな」と感心してしまった。

「単に落語家になりてえっていうんなら円楽のところへ行きゃあいい。立川流でやるんならおれの流儀にあわせて稽古をしてこい」

 ワシャは、立川流は無理ですね(笑)。

 

 昭和53年8月のことである。愛知県安城市で「安城落語会」という落語会が産声を上げた。第1回目の演者は、立川談志であった。この昭和53年という年は落語会にとっては大変な年で、5月に三遊亭圓生三遊派落語協会脱退するという「落語協会分裂騒動」が発生する。三遊亭圓丈の『御乱心』(主婦の友社)に詳しいが、この中に談志も出てくるんだけど、いい役回りではなくて、どっちつかずの無責任な男として登場する。まぁこれも圓生の下にいた圓丈の視点からの話だから、ある程度は割り引いて考えないといけないけどね。

 それでも、そんな混乱の年に談志は安城にやって来ている。第1回目の真打として。おそらく談志のことだから、マクラで「協会分裂騒動」をやっているんでしょうね。ワシャは残念ながら聴きに行けなかったが、絶対に聴いておくべきだったなぁ。

 談志以降、安城落語会には錚々たるメンバーがやってきた。小さん(人間国宝)、米朝人間国宝)、小三治人間国宝)、志ん朝、小朝、志の輔、分枝、鯉昇、円楽⑤、歌丸木久蔵小遊三、円楽⑥などなど。 談志から167回を重ねた安城落語会が、このクソ武漢ウイルスと主催者の高齢化などもあってついに幕となった。また、地方の落語文化が消えた。(つづく)