怒号と盆暗

 日本を東京15区の衆議院補欠選挙のことに触れたいが、今日は投票日なので、午後8時までは静かにしておこう。投票箱が閉じられたら、言いたいことを言いまっせ。

 

 だから今日は当たり障りのないことを書いておく。

経団連・十倉雅和会長「ナンボでも政治献金することはない」けれど…メザシの土光さんの「廃止」論に同調せず》

https://www.tokyo-np.co.jp/article/323088

 このニュースである。盆暗十倉は、企業団体献金の廃止を求める声が高まっていることについて「政治にはお金がかかる。(廃止するよりも)透明性を高め、ルールを守るという実効性を伴った制度にするかを与野党で議論すべきだ」と言ったんだとさ。

 こいつホントに盆暗だな。

 1月にも、経済安全保障担当相の高市早苗氏が岸田文雄首相に万博の延期を進言したことについて「万博建設地の土木工事はほぼ終わっている。被災地はこれから土木工事が必要なので、支障は出ない」との見解を示した。

 これに対して記者から「被災地で必要なのは土木だけではない。仮設住宅やビル復旧など建設工事もあるはずだが」と問われると、十倉氏は「心外だ」と語気を強めたんだとさ。

 おい、盆暗経済人。もう少しマクロで考える脳味噌を持とうね。大阪で巨大なプロジェクトが進んでいる。それは土木とか建築という個々の話ではない。トータルとしての人工(にんく)の問題、資機材の調達、輸送車両の確保などなど多岐にわたる話なのだ。

 明らかに能登に近い大阪で、大規模な工事が進んでいれば、周辺の技術者、労働者、車両などはみんなそっちに集まってしまう。そんなこと経済のいろはの「い」じゃないの?

 少子化対策としても「若者らが安心して子どもを産み育てるには消費増税が必要。消費増税から逃げてはいけない」と言っている。これ以上、増税して「少子化対策」になるかどうか、その貧弱な頭で考えるがいい。

 経団連会長が適当なことばっかり言っているんじゃねえぞ。

 

 福田赳夫あたりを大声で怒鳴りつけていたので「怒号さん」と呼ばれていた第4代の経済団体連合会会長の土光敏夫さん。丹羽宇一郎や十倉雅和のような小役人顔ではなく、古武士を思わせるような顔に、太い眉の下の眼光鋭い目はときに優しさも感じる人だった。

 歴代経団連会長の中でも傑出した土光さんは、《1974年に経団連会長に就任した際の会見で「政治にはお金がかかる」と述べたうえで「だが、お金をかけすぎると民主主義を破壊する」と強調》した。

 十倉氏とは真逆ですな。そして「企業は政治献金をすべきではない」として経団連が政治献金に関与しないよう政治改革に全力で取り組んだ人であった。

 

 土光さんの名言をひとつ。

《政治には金がかかるが、かけすぎると民主主義が滅びる。政治家が、政治に興味を失い、カネに興味を持っている。何か世話をしてカネをもらうことに関心がある。国民もカネをもらって投票する。どこか変ではないか。》

 33年前に出版された『21世紀への遺産』(文藝春秋)からの引用である。今だと、後段の「カネ」というところは「利権」と読み替えたほうがいいかもしれない。