大相撲秋場所

 横綱白鵬は悠々自適の有給休暇。  

 美学のまったくない横綱照ノ富士は両足をコルセットでがっちりと固め、両肘にもサポーター、両手首にも包帯のようなものを巻いて、太ったミイラ男のような姿で土俵に上がる。

 平幕の遠藤は多少悪いところがあっても、よほどのことがない限りそれらを外して土俵をつとめる。これが格好いい相撲取りの美学だ。初日も昨日もきれいな姿で土俵に上がっている。さすが。

  昨日の宇良-照強の取組。照ノ富士の露払いをつとめる横綱の弟弟子。この一番の照強の土俵は相撲ではなく喧嘩だった。宇良に対して張り手の連続で、あれは張り手ではなく殴打に近い。何度も顔面にビンタを食らった宇良は鼻血を吹き出していた。白鵬朝青龍の相撲にこういった跡味の悪い相撲が何番かあったが、照強の一方的ビンタ攻撃は、兄弟子同様に下品だ。

 二日目、若隆景-逸ノ城戦。若隆景が下手投げで逸ノ城を下した。相撲そのものはよかったんだが、逸ノ城の背中が見苦しかった。直径5㎝ほどの円い痣が8つ、背中に並んでいた。最初に見つけたときには逸ノ城の体型が体型なので「呪霊か?」と思ってしまったんですよ。今、何度目かの『呪術廻戦』を読んでいるものですから(笑)。よくよく見れば灸かなんかの治療痕だと思うけれど、それにしても汚すぎる。もう少し神聖なる土俵に上がるんだという意識を持ってほしい。

 横綱以外の上位陣、普通なら7人で14勝していなければならぬ。ところがなんと2勝10敗2休という惨憺たる星である。宇良も2敗だし、明瀬山は幕下に落ちてしまったし、溜まり席の妖精も顔を見せないし、ううむ、秋場所がもうひとつ盛り上がらない。