つまらぬ宴

 午後6時に始まったうたげは30分以上が挨拶だった。酒を目の前にしてつまらぬ話を聞くほどつまらぬ話もない。来賓の挨拶はほとんど新聞で読めた話で、聞いているふりをしていたワシャの顔はおそらくげんなりしていたことだろう。

 

 たとえば先週、昨日以外で宴席が3つあった。ひとつは読書会後の宴で、これは読書の話の延長戦のようなものなのでとても楽しい。もうひとつは交流のある新聞記者との懇親会で、これは情報交換としてとても面白かった。博識な人と酒を酌むと意外な話が飛び出してきて愉快だ。この時はギターまでが飛び入りしてきて、それを爪弾きながらの酒は乙なものだった。3つめは前の職場の他社の社員だった人で、副社長まで昇ったが、大きな事業展開の方針で社長と対立し、辞表を叩きつけたという猛者で、その人のご自宅で飲んだ。これがいい感じに古民家で、ワシャらが宴を催した部屋には丸窓があった。聞いてみればもと料亭だったところを買われたということ。部屋から眺める庭の見事さも含めて、風情のある宴席だった。

 

 最後の締めが昨夜の宴なのだが、皆さん、政治的な話がお好きなようで、どこの固まりでも、菅さんがどうの、外交がどうの、バイデン氏がああだこうだとかまびすしいが、そういったことに興味のない輩(ワシャのことね)には、まったくどうでもいい話だった。例えば、二階幹事長と宴席を共にしたことを想像してごらんなさいよ。つまらないこと甚だしいと思いますよ。

 二階氏と「山本七平」や「論語」について盛り上がるはずもないし、二階氏は「ギター」を弾くこともなかろう。まさかあの親中派の親玉が、和の庭園を愛でながら酒を酌むとは考えられない。おそらく最初から最後まで政局の話に終始して退屈この上ないわさ。

 そんな感じの宴がだらだらと牛の小便のように続いた。ワシャがあえて話の輪に加わらないので、杯が空いても誰も注ぐこともない。先の3つの宴なら、お互いに気を配っていて、杯が空いたと見ればすかさずに注ぐ。それに芸者がいればそんな心配もしなくていいし、料理屋であれば女将や仲居がさりげなく注いでくれる。

 そういった情緒で酒を飲むワルシャワには、昨日は不向きな宴席だった(苦笑)。