平成29年、倉本聰の脚本で、石坂浩二、八千草薫、浅丘ルリ子、加賀まりこら、往年の大スターが続々と集まって、全130話に及ぶ老人ホームの大河ドラマ「やすらぎの郷」を放送した。なにしろ老人が主役なので、昼の1時前の時間にもかかわらず高い視聴率を叩き出した。さすが倉本さん。
その続編の帯ドラマ「やすらぎの刻~道」が4月8日から始まる。
https://www.tv-asahi.co.jp/yasuraginotoki/#/?category=drama
倉本さんは「自分と同世代の人が心をゆすられるようなドラマを書きたい」ということで筆を執られたとのこと。これは楽しみだ。
女性雑誌の「ゆうゆう」(主婦の友社)の4月号に倉本さんが特集されていた。もちろんワシャは「ゆうゆう」など読んだこともなかったが、倉本さん特集があるのならと、いつもの本屋さんで頼んでもらったのじゃ。
そこに「やすらぎの刻~道」のことも書いてあって、どうやら老人ホームを中心とした現在のドラマに、主人公の脚本家が書く「道」というドラマが劇中劇として展開していくそうだ。レギュラーのような7人の俳優に、新たな入居者(いしだあゆみ、笹野高史など)も加わって、これは楽しみになってきましたぞ。
そうそう、今朝の新聞に俳優の織本順吉さんの訃報が出ていた。そこには「滋味あふれる脇役として、映画やテレビドラマに欠かせない存在」と表現されていたが、まさにそのとおりだと思う。ほっこりとしたやさしいキャラクターをお持ちの方であった。
この方も、前述の「やすらぎの郷」に出演されておられた。基本的に老人ホームの住居者ではないので、出演は、ほんの少しばかりだった。ワシャが記憶しているのは、最終盤で、織本さん演じる加納というテレビ界のドンが臨終間際に「テレビとはなんぞや」という問題を語るというシーンだった。
しかし、織本さんの全身からは善人のオーラがビシバシ出ていて、とてもじゃないが、テレビ界のドンといった雰囲気にはなっていなかった(笑)。でも、織本さんの演技だから許す……そんな感じで観ていたなぁ。
織本さんについて、もうひとつ触れておくと、織本さんの演技で忘れられないものに「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」(1973年)の北海道の開拓民の役があった。寅次郎が、労働に憧れて、その酪農家をたずね、わずか1日で体調を崩して病んでしまうというエピソードがあった。突然舞い込んできた根性なしの風来坊を一所懸命に看病し、世話をする朴訥な農家のオジサンを織本さんが演じた。これがまたうまいのだ。こういったバイプレーヤーが映画を作っていくのだなぁ。
そしてそういった役者さんが一人、また一人と減っていってしまうことが、「残念だし、怖い」と倉本さんは仰っていた。
倉本さんは、「ゆうゆう」で「北の国から」について触れておられたが、それはまた別の機会に。