昭和元禄落語心中

 え〜毎度ばかばかしい日記でご機嫌をうかがいます。
 今、左に寄り過ぎているNHKでございますが、それでもね、いい番組もございまして、「昭和元禄落語心中
https://www.nhk.or.jp/drama10/rakugo/
が、なかなか2作目から良くなってまいりました。
 でもね、これぁコミックのほうが断然良くってね、雲田はるこ昭和元禄落語心中』(講談社)全10巻が、雲田先生の落語への思いがぎっちりと詰まった作品で、なんしろ読み応えのある落語大河になっているんですねぇ。
 ドラマが始まる前に、友だちに貸す予定になっていたんですがね、あたしゃ暇なんですがね、友だちの予定がつまってて、コミックを渡すことができねぇんですよ。仕方がねぇから、再読をしているようなわけで、夕べも寝床でページを繰っていたようなわけでございましてね。
 これがねぇ……読み返すってえと、新たなところに気が付くもんでしてね、物語が昭和初期から現代まで3代にわたる人間ドラマが織り込まれている。そこは何度も、読み込んできたので理解している。ううむ。と、言いながらもどこまで解っているのか、いささか心配ですがね。
 ま、いいや。まあドラマ本編は解っていることにしましょう。
 でね、今回(夕べ)新たに気がついたことがあるんですよ。時おり、顔を出す樋口栄助という作家先生がいるんですがね、この人の風貌が司馬遼太郎にそっくりなんですな。若いんだけど、髪は真っ白で黒縁メガネをかけて、いろいろな書籍を渉猟し、細部の重要なところを見逃さず深掘りしていくところなんざ、まさに司馬遼太郎
 何度も読んでいると、そういった脇の登場人物にも目がいって、作品の味わいをまた違ったものに醸してくれるんですな。

 なにしろ!小学生だった八代目の八雲師匠が、七代目に入門し、それから長い昭和の落語の物語が始まる。そして大団円は、八代目が唯一拾った弟子の与太郎が、新築なった寄席「雨竹亭」で九代目八雲を襲名し、八代目の遺作のような「死神」を演じる。その迫力たるや、あのチンピラだった与太郎(九代目の前座名)が、ここまで成長するとは……とつい涙ぐんでしまいました。
 更に与太郎の義理の息子、八代目から言えば「孫」の五代目菊比古が二つ目昇進で頑張っている。時代ってえのは人をつなぎながら流れていくもんでございますねぇ。ドラマや小説・コミックでは短時間で見られるし読めるんで、その流れを感じることができるんですがね、どうもあたしら人間の人生、それも三代にも渡るってえと、その流れの中にどっぷりと浸かってしまってまわりしか見えませんからね、アップアップしているというのが悲しいけれど現実ではございませんかねぇ。
 ともかくだ。夕べは寝床で人生の無常さと、それでも時代時代に縁のある人たちが織ります人情の機微みてえなもんを感じていたんだ。目が覚めたら「キンを握っておりました」では「夢金」になっちまうから、キンは握らず、本を握って目を覚ましたようなわけでございます。これはホントのお話でございます。
 おあとがよろしいようで。