日大アメフト部のような

 日大アメフト部の内田前監督が心労で入院したんだとさ。
 ワシャもニュースで内田前監督の記者会見を見たけれど、そもそも内田前監督という人を知らないので、マスコミの切り取り情報だけではなんとも判断はできない。

 ワシャはアメフトはやったことはないが、サッカー部ではあったので、フィールドで接触する競技をほんの少しだけ知っている。例えば、サッカーで監督がバックスのワシャに「敵のセンターフォワードをつぶしてこい」と言ったのなら、それは、試合中に執拗にマークし、足をめがけて何度もスライディングなどをすることを意味する。
 ワシャはバックスの中でも一番後ろのスイーパーという役割を与えられていた。なにしろワシャの後ろにはキーパーしかいなかったので、体を張って敵の攻撃をしのいでいたものだ。時には当たりが強すぎて、敵フォワードからどつかれたりもする。こっちもどつく。ヘディングでボールを競る時に、敵のジャージやパンツを引っ張ったりするのは当然の技術だった。ある意味、フィールドスポーツはクリーンなものではない。選手たちはルールすれすれの、時には、審判に見えない反則をして、敵を出し抜くことばっかり考えている。
 こんなこともあった。ある試合で、敵のフォワードがワシャのチームのキーパーにかなりあくどい接触プレーをした。キーパーチャージという今はない反則なんだけど、これでワシャのチームのキーパーは束の間立ち上がれなくなるほどのダメージを受けた。この反則ですら「フリーキック」が与えられるだけで、イエローカードすら出ないこともあった。
 試合が再開された。ワシャらバックスが不甲斐ないせいか、ボールは敵に奪われて、敵フォワードがゴールに迫った。キーパーがなんとかその勢いを止めてボールを確保したところまではよかった。そこにまたあの敵フォワードが突っ込んできて、キーパーの腹に蹴りを入れる格好になった。
 2回目の悪質なプレーだった。ワシャはもう我慢ならず、うずくまるキーパーの横で立ち上がったところの敵フォワードに、渾身の真空とび膝蹴りをかましたのだった。やられたからやり返した。おあいこでヤンス。
 しかし、審判は、最初の接触プレーは不問に付し、真空とび膝蹴りのワシャだけにイエローカードを突きつけたのだった。
 ハーフタイムにベンチに戻ったら、真っ赤な顔をした監督に
「おまえは喧嘩する前にサッカーをしろ!」
 と激怒されたものである。
 今、考えれば、あの監督はまともな監督だった。でもね、チームメイトは、敵のセンターフォワードの性格の悪さを知っているので、監督に見えないところで、ワシャに拍手をおくってくれた。

 へんな思い出話になってしまったが、内田前監督が己の正当性を少しでも主張したいならば、ワシャを叱った凸凹サッカー部の監督と同様に反則をした選手を叱りつけておかなければいけない。叱らなかったその一点で、内田元監督に弁解の余地はないのだ。
 内田元監督は腹心の井上コーチに「選手をガンガン絞り上げろ、厳しくいけ」というような支持をだしていたような話も伝わってくる。そして内田前監督のイエスマンともパシリとも言われている井上コーチが選手たちに執拗に厳しく接したことも事実のようだ。

 思い出した!
 某社の話なのだが、何年も前に社長が代わった。その前の社長が12年くらいやっていたが、「長期に社長をすることは組織が停滞する」とかなんとか主張して、選挙が行われ代替わりをした。外部からやってきた新社長は、居並ぶ社員の前で「君たちは株主様の下僕だ」と言い放ったそうだ(笑)。この社長、副社長を何人も替えた。もっとも長続きしている現副社長には「社員をがんがん絞り上げろ。厳しくいけ」と指示しているらしい。内田監督と同じような事を言っている。この社長の好きな言葉は「少数精鋭」「質素倹約」「株主迎合」だという。日大アメフト部のように組織が壊れなければいいが。