北国の春

 朝霞少女誘拐事件
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160401-OYT1T50189.html
の犯人の名前である。樺風、「かぶ」と読む。DQNネーム、キラキラネームのようにも思える。樺は「かば」であるが「か」とも読める。風は「ふ」。だから樺風と書いて「かふ」「かぶ」というのはそれほど無理な読み方でもないか。
 DQNネームの要件として、イメージを想像しやすい「空、星、風」などを使いたがり、画数が多く、誰にも読めない、こんなところだそうだが、「風」が入っていて「樺」の画数が多い。そしてなかなか読めないとくればまちがいなくDQNネームなんでしょうね。
 それはさておき、意味を考えたい。樺は白樺のことで、白樺を吹きぬけてくる風というような意味だろうか。両親が、千昌男のファンだったのかもしれない。「しらかば〜あおぞ〜ら〜み〜な〜み〜か〜ぜ〜♪」ってね。
 あるいは両親が「魔法使いサリー」の弟の「カブ」のファンだったのか。
 手元に『風の名前』(小学館)がある。風の名前が390ほど乗っているが「樺風」などという風はない。かつ「風」を「ふ」「ぶ」と読むものもなかった。
 最近、DQNネームが下火になってきたという。そりゃそうでしょ。ここにDQNネームのまとめサイトがあるが、
http://matome.naver.jp/odai/2131975843759446001
美依羅(みいら)、亜菜瑠(あなる)、麻楽(まら)なんて、子供たちが少し知識をつければ、絶対に嫌がる名前でしょう。つけた親の無知をさらけ出しているだけならいいけれど、つけられた子供は悲劇だ。
 子供は成長の過程で、「なぜ僕の名前はこれなのだろう」と悩む。少なくともワシャはそうだった。大した名前ではないんですよ。子供の頃のクラスには2人同じ読みをする少年がいたし、今の職場でも近い年齢層に2人同じ読みの社員がいる。そのぐらいありきたりの名前でも、「なんでオレはこの名前なんだ」と思ったものである。それを父親に問いかけたこともあった。それに対しては、明快な納得できる回答が返ってきた。
 亜菜瑠ちゃんは大変だろうな。
娘「なんであたしの名前が亜菜瑠(あなる)なのよ」
母「だって(あなる)って響きがかわいいじゃない」
娘「改名するわ」
母「一所懸命につけたのよ。かわいいからいいのよ」
娘「アナルってケツの穴という意味なのよ。知っててつけたの!」
母「ケツの穴……シリませんでした」
 変な名前にすると変なことが起きる。樺風を名づけた親は、おそらく音だけで決めたのだろうが、そこに子供に語れる意味がスパイスとして欲しかった。

 今日の「天声人語」も酷い。ここまで劣化しているとは……。