土地とは何であるのか

 昨日、いつもの本屋によった。『WiLL』の8月号はとっくに出ている。でも、いつもの本屋で買いたいので、昨日まで我慢していたのじゃ。8月号のグラビアは、うふふ、なんと「オードリー・ヘップバーン」なんですぞ。うれしいなぁ。
『WiLL』と一緒に他の本も買った。例えば、『日本「愛国者」列伝』(宝島社)である。すごいラインナップだが、はたしてネットで右翼ごっこをしている若者たちは、この中のどれほどの人を知っているのだろう。頭山満北一輝井上日召あたりはビッグネームだから知っているとは思うが、この三人を知らないようなら「ウヨク」なんて言わないほうがいいかも知れないよ。
愛国者」というラインナップなので、司馬遼太郎の名前もあった。おそらく現在の日本人が持つ歴史観の広範囲の部分を、司馬さんが構築してきた史観が占めている。それほど日本人に影響を与えた作家と言っていい。
 ワシャの大学生の甥が、なんだか「ネトウヨ」を気取っていたので、「古事記くらいは読んでいるのだろうな」と問うと、「読んでいません」と言う。
司馬遼太郎はどうだ」に対しても同じ答えが返ってきた。
「バッカモ〜ン!(波平さん風に)、日本の歴史も知らずしてなにを偉そうなことを言っておるのか、まず、万巻の書にあたってから出直してこい。喝!」
 と言ったら、あわてて帰っていきおった。未熟なやつめ。

 そんなことはどうでもいい。『日本「愛国者」列伝』の、それぞれの愛国者のページに【名言】が書いてある。司馬さんの名言は「日本の土地は公有化すべきだ」。この言葉は、システム上のことを考慮するとかなり暴言だと思うが、ワシャは司馬さんの考え方に共感する者である。
 この言葉の出典は、『土地と日本人』(中公文庫)で、野坂昭如との対談の中で飛び出した。
《結論を先に言ってしまうようなことになるけれども、要するにね、日本は土地を公有にしなきゃどうしようもないと思う。》
 この後に、地面に途方もない値段をつけていることを批判し、《ぼくの家の近所の百姓というのは、坪四十万円ぐらいのところで大根を作っている。》と例を挙げて、「それは投機である」と指摘している。
 また、『日本人の遺言』(朝日新聞社)の中でも、経済評論家の田中直毅との対談でこう言っている。
《その家の横にネギ畑がありました。関西によくある青ネギです。老人が二百坪ほどの畝をつくり、宅地転用になる時期を待っていて、それまでの間、ネギを植えているという感じでした。》
 おっと時間になってしまった。このあたりの土地の話はもう少し続けたい。