よく寝た〜

 このところ充分な睡眠がとれていなかったので、夕べは爆睡をしてしまった。目が覚めたら午前8時を回っていた。仕事の日ならOUTだった(笑)。
 先日の読書会で、睡眠の効能について話題になった。体の部品の修復には睡眠が一番いい。それはメンバー全員納得をした。が、寝だめがきくかどうかについては意見が分かれた。ワシャは寝だめなどきかない派で、これは水木しげるサンがそう言っておられたことに由来する。なにしろ水木サン、眠くなればどこでも寝たし、基本的に仕事で徹夜をするということを忌避された方だった。とにかく定時になると仕事は切り上げ、さっさと食事をして寝てしまう。寝だめはきかないから、ちゃんと毎日寝ることを考えた方だった。
 そうそう今朝の朝日新聞「耕論」が水木サンの特集だった。ノンフィクション作家の保阪正康氏、マンガコラムニストの夏目房之介氏、民俗学者小松和彦氏のそれぞれ寄稿されている。
 その中で保阪氏が水木サンについてこう言っていた。
《戦争をめぐる証言や記録は数多くありますが、大半は肯定するか否定するか、です。》
 しかし、水木サンは違ったと言われる。水木さんは南方戦線で左腕を失う。戦争の刻印としてこれほど明確なものはないだろう。だが終生、「戦争反対」という言葉を口にしなかった。
《大きな言葉や情緒的な語りではなく、事実を淡々と伝えることに徹したのだと思います。》
 今でも、戦争体験を朗々と切々と語る者は多い。保阪氏の言われるとおり、あまりに情緒に過ぎ、あまりに声高であるがゆえに、その信憑性が揺らぐ。その最たるものが、半島のオバアサンたちなのだろう。
 ワシャだって、学生時代の武勇伝を話すときには、おもしろく聴いてほしいので、少しばかりのフィクションを盛る。そういうことはあるわけで、もちろんそこにイデオロギーという毒が混入すると、盛りはたちまちその分量を増す。
 そういうものが水木サンの話にはなかった。だから戦争を政治的に語りたい人たちからは評価されなかったと、保阪氏は言われる。ワシャもそう思う。だから水木サンがいい。睡眠に貪欲だったところもね。