露土戦争

 24日、ロシアの戦闘機をトルコ空軍が撃ち落した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151124-00000049-asahi-int
 今日は27日なので、そんな昔のニュースの話をしたいわけではない。でも、話題の展開上、もう少しこの話を続ける。
 トルコ、ロシア双方の言い分が真っ向から対立している。
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6182072
 そりゃそうだろう。それぞれのサイドからの見方はあろうし、国際的にそう簡単に自国軍の非を認めるわけにもいかない。ロシア機が撃墜される瞬間の映像や、その後、救出に向かったヘリコプターが爆破される映像、トルコ空軍の無線の音声などもぞくぞくと出てくるが、そんなものが出てきても、トルコ、ロシアの言い分はまったく食い違い平行線をたどっている。21世紀の情報化社会にあってもこうなのだ。
 プーチン大統領は、ロシア軍機撃墜について「トルコからまだ謝罪がない」と不快感を露わにしている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151126-00000043-jij_afp-int&pos=5
 そんな状況で、こういう報道が入ってきた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151126-00010000-storyfulv-int
《トルコのメディアなどは26日、前日25日に救援物資を輸送していたトルコの車両が、トルコとの国境に近いシリア北西部の町、アザーズを走行中、ロシア軍機から空襲を受け運転手など7人が死亡、10人が負傷したと報じている。ロシアはこの空襲について情報を発表していない。》
 いろいろな情報が錯綜している。戦場では現実に複雑な偶発的戦闘・突発事故・トラブルなどが日常茶飯に起きているのだ。

 これが今から80年も90年も前の話で、状況を伝える手段が報告書と写真ぐらいしかない時代は、戦闘現場の情報など針の穴を通ってくる光よりも細く、それもなんらかの理由で改ざんされていることのほうが多かった。
 その頃の東アジアである。新興国の日本が大陸に進出しようとしている。そこに南下政策を目論むソ連、その上に、利権や領土に食いこもうとしているアメリカ、イギリス、フランス、オランダなどが加わり、さらにこの混乱に乗じ、自分の王朝を成立させようと蒋介石毛沢東が蠢きだしている。細かな馬賊のような連中もいただろう。こんなにこんがらがった大混乱状態にあって、何が是で何が非か、何が善で何が悪か、そんなもの簡単に見極められるわけがなかろう。一方向からの観点、一視点からの観測では絶対に真相など見えてくるわけがない。
 実際に中近東で戦争が起きてみて、それをライブに近い状態で情報に接してみると、よくよく判るのではないか。トルコ、ロシアだけの話じゃないでしょ。暗躍する国、体制、集団がいて、複雑な形態で戦場にそれぞれの戦闘員が存在する。
 つまり、90年前の東アジア、もっと狭めれば満州やその周辺に、日本が侵略をしました。支那と戦争になりました……などという単純な図式ではないのだ。
 しかし、日本を貶めようとする連中には、戦前の日本は「悪」、支那中国・朝鮮は「善」としか言い張らない。これはおかしいでしょ。リアルタイムで入ってくるロシア軍機撃墜の情報でも、両者の主張は180度違う。証拠を突きつけられても、トルコが「正義」ロシアが「悪」とは一概に言えないし、その逆であるとも簡単には判断できない。10:0なんてことはないのだ。1.5:2.3:0.7:2.5:1.6:1.4とかね、なにしろ複雑なものなのだ。
 中国共産党が南京であった戦闘を「南京大虐殺」とかの名をつけて、世界 に向かって「ポクたちは被害者アルヨ」と喧伝している。今後もそこであったことについては、検証を続けていけばいいけれど、少なくとも現段階で中国共産党の言うことが正しくて、日本の言うことがウソだと断定することは上記の例も含めてありえない話だ。これを一方の言い分だけを認めて、「世界記憶遺産」かなんかに認定したユニセフってめちゃめちゃいい加減な組織ですわなぁ。
 現在の世界の政治・経済の場でも日本の信用度は高い。あるいは過去の歴史に求めても、総体としての日本人は、嘘、だまし、ごまかし、というようなことが比較的少ない民族であることは論を俟たない。
 ここで特定の国名を挙げないが、嘘、だまし、ごまかしの多い国はある。独裁国家はほぼ嘘、だまし、ごまかしで出来上がっているものなのだが、それらが声高に主張することを信じられるだろうか。ナチスの宣伝相のゲッペルスが「大きな嘘を頻繁に繰り返せば、人々はその嘘を信じるだろう」と明言した。巷間で言われる「嘘も百回言えば真実になる」というやつだ。これを日本は某国らにやられている。そして、トンちゃんとか江の傭兵は、しっかりとそれにはめられた善良だがマヌケな日本人なのである。
 このあたりの現実が、福島瑞穂さんやそのお仲間たちに理解できるといいのだけれど。「主義主張に煮固められた方々には柔軟な思考というものがおそらく無理だろうから期待はしない」そういったのは司馬遼太郎だった。
 ワシャは――片寄っているように感じられるかもしれませんが――フラットな視点で多面的に物事を見ていきたいと思っている。