思考がブルガリアへ行っていた。いえいえ思考というほどのものではなくて「思い」くらいのものでしょうか。
倉山満さんの『嘘だらけの日英近現代史』(扶桑社新書)の中に「ブルガリア方式」という国家間の調停方式が出てくる。これをワシャは知らなかった。高校の教科書『詳細世界史B』(山川出版社)を調べてみたが「ブルガリア方式」なるものは記載されていない。『世界大百科事典』(平凡社)の索引にもなかった。
倉山さんの著書から読むと……露土戦争の講和条約であるサン・ステファノ条約に英独が介入し、条約そのものを無効にした。その後、代替条約としてベルリン条約が締結され、名はトルコに与え、実をロシアが取るというまとめ方……を「ブルガリア方式」と言うらしい。後年の日支間の満洲の扱いがこの方式に則ったものだった。
ううむ、勉強になるなぁ。倉山さん以外で「ブルガリア方式」などと言っているひとがおられるのだろうか。業界(笑)では異端児なんでしょうね。でも、知らないことを解りやすく伝えてくれるということでは、他の権威と呼ばれる学者様よりもありがたい存在だ。
国際政治というのは単純ではない。それこそ政治家が「ブルガリア方式」すら知らずに、現在の日中問題、日韓問題を語るな、という話である。いやいや今の左筋政治家は日本の近現代史すら知らない可能性がある。おそろしいことだ。
『嘘だらけシリーズ』は日本の近現代史の知識を得るには格好の教科書だと思う。歴史は一面だけでは語れない。多方向からアプローチをして初めてかたちが見えてくる。いろいろと読まなくっちゃ。