居酒屋からインパール

 昨日、友だちとご無沙汰していた居酒屋に顔をだす。某駅前にある小さな居酒屋で、けっこう気に入っている。カウンターは6席、奥に20人くらい座れる座敷がある。
 ワシャはいつもカウンターなので、その隅っこに座って、今日のおすすめの金目やナガスクジラの刺身をもちろん注文する。金目のほうは熟成がされていてうまかったなぁ。ナガスクジラは最初の2切れ3切れはよかったのだが、時間が経つと獣臭さが強くなって、半分残してしまった。ゴーヤと豚肉の炒めたのも美味かった。最初の熱燗はオバサンに頼んだんですよ。いい熱燗が出てきましたぞ。2本目をこの日初めて見る若い女の子が注文を取ってくれた。新顔さんかなぁ。
「熱燗」というと「常温ですか」と聞いてくる。ワシャが「常温?」と聞き返すと奥へ引っ込んだ。その時に肯いたかなぁ。ワシャは「熱燗」と言った。しかし、女の子は「常温」と言った。
 出てきたのは「常温」の酒が満たされた徳利だった。ふえ〜ん(泣)、ワシャは熱燗が好きなのに……。
でも、ワシャも反応しているので、その子ばかりを責めるわけにもいかない。だから「常温」でいただきましたぞ。それはそれなりに美味しかったけどね。全体としては、あ〜楽しかった。
 帰宅して、ちょいと酔いを醒ます。上橋菜穂子『鹿の王』(KADOKAWA)を読もうかと思ったが、読みだすと止められなくなりそうなので、テレビを点けた。
 BS日テレで「非常白骨街道…インパール」の特集をやっていた。これじゃだめじゃん。牟田口蓮也のインパールである。これも見だしたら止められない。けれど見ちゃったわなぁ。牟田口中将のことはここに書いた。
http://d.hatena.ne.jp/warusyawa/20101102/1288648936
 昨日の番組でも、生き残った将兵にインタビューすると牟田口中将のことは皆さんボロボロに言うなぁ。それはビルマからインド東部に展開していた時期から、まったく信頼されていない愚将であった証明だろう。組織の中でよく見るタイプの人物である。育ちがよく、これまでの人生において挫折を味わったことのない秀才、無謬主義に陥っていて、上には受けがいいが、下には評判が悪い。上昇志向が強く、そのためには部下をも平然と踏み台にする。彼がインパール作戦の司令官でなければ、どれほどの日本兵が助かったことだろう。まさに牟田口の無能、無策がどまんなかにはまってしまった大作戦だった。
 インパール作戦の生き残りの兵士たちが口をそろえて言う。
「作戦での日本軍兵士の第一の敵は軍司令官、第二は雨期とマラリアの蚊、第三は飢餓、そして英印軍はやっと四番目だ」
 牟田口が作戦の指揮をとるよりも、ウオーゲームをやっている中学生のほうがよほどまともな指揮をとっただろう。
 軍事を知り的確な指摘をする師団長たちは、牟田口にことごとく更迭された。牟田口が登用しかわいがったのは「イエスマン」ばかりの将校だった。その下に何万という兵士がぶら下がっているのである。これは悲劇だ。
 眠たかったけれど、結局、テレビを最後まで見てしまったのだった。とほほ。