下伊那あたり

 一昨日、信州へ行ってきたと書いた。中央高速道路を、飯田、駒ケ根、伊那と走って塩尻まで行き、帰路はその逆で塩尻、伊那、駒ケ根、飯田を経て、東濃、三河へと乗り継いだ。飯田から中津川へ恵那山トンネルでルートを変更するまでは、いわゆる「塩の道」「中馬街道」と言われる信州と三河を結ぶ地方幹道だった。この道を使って三河の塩が山国の信濃に運ばれ、その最終到達点が「塩の尻」と呼ばれた。
 その中馬街道にそって中央アルプス南アルプスが並んでいる。絶景かな絶景かな。

 手元に『伊那の中世伝説・山岳信仰』(伊那市伊那市教育委員会)がある。非売品のようなので、単価はついていない。平成12年に伊那市で開催された「歴史シンポジウム」の内容を収録したものだ。5人の著者の手によるもので、書きぶりがそれぞれ違うから、少々読みにくい。
 でもね、3000m級の山々に囲まれたこの地域が、役行者弘法大師などを使って山岳信仰を高めていったことは理解できた。確かに人を寄せ付けない厳冬の頂、春になって桜模様の里山の向こうに見せる白いお顔、夏の和らげな素顔などを見れば、畏れの対称として手を合わせたくなるのもよくわかる。
 一度だけ冬の木曽駒ヶ岳の本岳2956mに登ったことがあるけれど、嶺を歩いていると木曽谷から吹き上げる強風に体を持って行かれそうになり、恐怖を感じたものであった。山はやはり裾野から眺めているに限る、そう思ったものである。

 今日、4月17日は「し」も「いな」の日なんだそうです。「下伊那の日」で、飯田、下伊那の特産である五平餅をPRする日なんですよ。南信州と同一文化圏である奥三河・東濃でも五平餅は特産で、ワシャ的にはクルミのたっぷりと入った甘さが抑えめの東濃の五平餅が好きなのであった。