十割蕎麦に走れ その2

(上から続く)
 木曾の新開芝原に「時香忘」という蕎麦屋があるそうな。そこの「粗挽き山ごぼう蕎麦」は風味があってコシのある絶品蕎麦なんですと。
 お返しに、信州駒ヶ根の「丸富」を教えてあげた。ここの十割蕎麦の「しらびそそば」も絶品。地元のそば粉100%で細切りの蕎麦は喉越しが最高だ。ただしすぐに品切れとなってしまうので早めにお出かけあれ。
 ワシャの忠告は耳に入らなかったようじゃ。その夫婦は今から駒ヶ根まで行くといって店を出て行った。おおお、なんという蕎麦狂い、将来が楽しみじゃのう。
 ワシャのほうはといえば、もうお腹いっぱい、さすがに今から木曾まで走っていく気力はありまへんで。それに持参した犬養孝大阪大学名誉教授)のテープも4巻しか持って来ていない。あ、そうなんですよ。先々週、ひょんなことから、万葉風土学を確立した犬養先生の講演テープ16巻を手に入れた。
「つくばねの〜さゆるのはなのゆとこにも〜かなしけいもぞひるもかなしけ」
 先生の朗読を聴きながら奥三河を快走する。蕎麦も食えたし、翠嵐も堪能できたし、その上、先生の講義も楽しめた。もちろん根羽名物の豆腐、トウモロコシ、ヨーグルトを買うのも忘れませんでした。めでたしめでたし。

(※)中馬街道:飯田街道とも塩の道ともいう。三州岡崎と信州飯田を結ぶ街道。