司馬遼太郎のことば

 ワシャの家にはいたるところに司馬遼太郎の本が置いてある。『この国のかたち』だけでも4セットが書庫(物置ともいう)、居間、トイレ、寝室に並べられている。どこでもいつでも司馬の言に触れていたいという思いからだ。
 たまたま、上記のどこかでくつろいでいる時に、司馬さんの文庫をひょいと手に取った。いいことが書いてあったのでメモしておこうっと。
《文学が、人間や、人間がつくっている世間への理屈をこえた情趣や、あるいは論理でもって言いあらわしたいなにごとかを言語で書くものだとすれば、漫画はそれを絵で表現する、ということは、たいていの人が納得してくれるのではないでしょうか。しかも、人間の心と行為と、その総和である世間における愛すべき不条理さを、漫画家も頭のなかで、最初は言語としてとらえているのではないか、と思っていましたし、いまもそう思っています。》『以下、無用のことながら』(文春文庫)