三陸の被災地から風が舞い込んだ

 今日、おもしろい話を聴いた。
 救援活動で三陸に行っていた友人が、久々に帰ってきたのである。この友人、とても変な男で、トレーラーハウスを東北にもって行って、そこで暮らしながら、支援活動の指揮を執っている。戦国時代に生まれていたら、絶対に一国一城の主になっていただろう。
 その友人が終業後に職場を訪ねてくれた。そこでこんな話が出た。
「今、国から、三陸の被災地に金が下りてきている。それも何百億という単位でだ」
すごいな。
「そのために地元の首長たちが急に忙しくなった」
 その事業をするためにか?
「違う。東京から首長のところに大企業の重役が足しげく通ってくるからさ」
 そんなに来るの?
「そりゃぁもう両手で足りないくらいさ」
 何しに来るの?
「国から下りてくる金にむらがっているんだ。ハイエナみたいなものさ」
 ハイエナねェ。
「結局、ヤツらがよってたかってその金を吸い尽くしていく。全部中央の大企業のものなのさ。被災地には何も残りませんでした、ということになる」
 いくらなんでもそんなことはないだろう。
「いやいや、それがあるんだ。例えば、瓦礫を集めてバイオマス発電をするとしよう。地元にそんな大規模な施設を造る力はないし、ノウハウもない。結局、大手のゼネコンやらが請け負って、県外から研究者や業者を連れてきて、そいつらに造らせて、有り金残らず、かっさらっていく」
 なんとかならないのか?
「う〜ん、何とか地元に金の落ちる算段はないものかと、トレーラーハウスの前でストーブ4つ焚いて、毎晩、地元の若者と議論しているが、今のところ、いい方法が見つからない」
 そうか……。
「だんだん若い連中の元気がなくなっていくのが分かるんだ」
 つらいな。
「そうだ!ワルシャワ、お前、三陸に来て、若い奴らに喝を入れてくれないか?」
 だめだめ、年末年始は、仕事が立て込んでいる。
「そんなこと言うなよ、三陸の若い奴らを元気づけてくれ」
 う〜ん、2月には福島に行こうと思っているが……。
「おうおう、そのついでに三陸まで足を延ばせ」
 ううむ、考えておくけれど、期待しないでくれ。
「頼んだぜ」
 とワシャの肩を叩くと、のっしのっしと大股歩きで帰って行った。

 週明けに、また三陸に戻るのだそうな。アホだけど偉いやっちゃ。