日本の鯨食

 昨日、友だちと居酒屋で飲んだ。
 カウンターに座ってビールを頼むと、口取りとして出てきたのが、コウナゴのなめろうだった。厳密には叩いてないので、なめろうではない。麹かなにかで和えてあってほどよいねばりと滑らかな食感がなめろうっぽいなと思ったんですね。
 カウンター上にあるホワイトボードに「ミンククジラの刺身」と書いてある。もちろんクジラ好きなワシャはいの一番に注文しましたぞ。まもなく黒赤色の尾の身が出てきた。見た目は馬刺しのような感じだが、食感は柔らかく臭みもない。近年の流通量はミンククジラがトップである。クジラ好きな人の間では、ミンククジラが一番おいしいと言われている。生姜醤油でつるっと食べると、これが美味い。

 実はこの居酒屋、某駅の近くにあるのだが、外見からはぱっとしない造作で、見た感じ美味い物を出してくれそうにない。たまたま見つけたのだが、実は美味い物を出してくれる隠れた名店だと思っている。刺身系はネタが新鮮でどれでもいける。それに値段の割に盛りがいいので、お得感があるのも高得点だ。

 クジラを食っていて思い出した。あの環境テロリストシー・シェパードの船がイギリスで差し押さえをくらった。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110807/erp11080718000007-n1.htm
《マルタの水産業者が英国で民事訴訟を起こし勝訴、裁判所がその賠償額に値する資産を担保にするためだった。SSは結局、52万ポンド(6800万円)の供託金を納め、抗議船の差し押さえ措置を解いた。これまで、SSの猛威を抑えきれなかった日本政府にとって、マルタの業者の“一刺し”は、現状を打開するための突破口になるかもしれない。》
 当たり前だ。日本政府は何を手をこまねいているのか。マルタの水産業者でも一矢報いることができるのに、日本は環境テロリストにやられっぱなしではないか。国際社会で事なかれ主義は通用しない。

 水産庁の役人だった小松正之さんが『日本の鯨食文化』(祥伝社)を上梓した。この本には日本のクジラ産業が文化に深く根差したものであること、欧米のかつてのクジラ産業が一過性の経済活動だったことが書いてある。
 この本を読んで、クジラを食べることの大切さを再認識し、ミンククジラの尾の身の刺身に舌鼓を打ったのだった。