早朝のひと時

 午前3時、寝室が明るいので目を覚ましてしまった。西の空にかかる居待月が皓皓と輝いて、部屋の奥まで照らしている。髪の毛の一本一本まで識別できそうだ。せっかく目を覚ましたので、睡眠時間は短いがこのまま起きることにする。
 キッチンにゆき、麦茶を大きめのグラスに注ぎ一気に飲む。う〜ん、体中に冷気がゆきわたってのがわかる。もう一杯注いで、それを持って書庫(物置ともいう)に潜り込む。
 パソコンを開く。立ち上がる時間を利用して、サイドテーブルにたまっている本を棚に戻す。パソコンが立ち上がったのでメールをチェック。9月半ばに東京で開催する古典講座の連絡以外はさしたるメールはなし。

 昨日、仕事帰りにブックオフで買ってきた本を袋から取り出す。
三並夏平成マシンガンズ』(河出書房新社
 これはめっけもんだった。実は、この4月から童話作家新美南吉の調査を始めている。全集も仕事場の書棚には揃えた。文献もいろいろ漁っている。その中でこの三並夏という作家に突き当たった。
 この人、1990年生まれというから、まだ20歳のお嬢さんだ。でも、5年前の中学生のときに、本作で河出書房新社文藝賞を最年少で受賞している。この人は新美南吉を尊敬しており、ゆえにペンネームも南吉の「南」から「三並」と付けたんだそうな。
 南吉でなにか仕掛けるとき、話題づくりの一つとして使えそうじゃないですか。入手して読まなくっちゃぁ、と思っていたら見つけたんですね。ラッキー!
 その他に『普遍宗教への階梯 スワミ・ヴィヴェカーナンダ講演集』(コスモス・ライブラリー)ヴィヴェカーナンダって誰なんだって話なんだが……ちょこっとくどいか。
 一応、人名事典にも載っている方なので、偉い人には間違いなさそうだ。東洋思想に興味があるのでとりあえず買っておく。
 キャサリン・サムソン『東京に暮らす』(岩波文庫)、これは、ワシャが外国人による日本人論が好きなので買ったのだが、いやー、すでに書棚にありましたぞ。しまったしまった島倉千代子
 ニーチェ『この人を見よ』(岩波文庫)は、大昔に読んだ記憶がうっすらと残っている。この間、松岡正剛の『千夜千冊』を読んでいて、「痛くて尊大で辛くて高邁な本」と紹介してあったので買った。
 これ以外に童謡の本を2冊、選書を2冊、新書を1冊買って、千円だして55円のお釣りがきましたぞ。知識がずいぶん安くなってきた。

 午前5時30分、東の空にかかる帯状巻雲(おびじょうけんうん)が朝焼けで朱に染まっている。ようやく日が昇る。