スペシャル読書会のつづき

 読書会・芸者会の続きである。
 まず読書会は大成功だった。1時間目は『中国化する日本』、ここでは與那覇さんがテーゼとして挙げている「江戸暗黒史観」が俎上にあがった。その暗黒史観を是とするものと、「江戸バラ色史観」を持ち出してくるものもあって、熱い議論が繰り広げられた。まぁ結論などは出るわけはありませんがね。
 2時間目は『新美南吉童話集』である。まず、それぞれのメンバーが13作品の中からもっとも気に入ったものを選び、そのどこが良かったかを説明するというもの。
 ちなみに『童話集』には以下が収録されている。
「ごんぎつね」
「手袋を買いに」
「赤い蝋燭」
「最後の胡弓弾き」
「九助君の話」
「屁」
「うた時計」
「ごんごろ鐘」
「おじいさんのランプ」
「牛をつないだ椿の木」
「百姓の足、坊さんの足」
「花のき村と盗人たち」
「狐」
 どれも南吉の名作と言っていい。結果は、やはり教科書で学んだことのある「ごんぎつね」が3票で健闘した。第2位が2票を獲得した「九助君の話」。「おじいさんのらんぷ」「屁」「百姓の足、坊さんの足」などが1票ずつである。
 メンバーの感想は「久々に読みなおしてけっこう感動した」「あらためて南吉という童話作家の良さに気がついた」「童話と言いながらも大人が読んでも充分に満足できるレベルのものだ」などなど高評を得た。
 ところが2時間目の途中から、チェリオくんが「閑話休題」と叫びながら議題を「新美南吉」から強引に映画の「風立ちぬ」に変えてしまったのじゃ。気の小さいワシャには止めることができなかった(泣)。
 ところがこの話題は話題でこれまた盛り上がるのですなぁ。論点はタバコの描写シーンなどという些末な話ではないですぞ。宮崎駿の戦争に対する認識はどうなのか、従来の作品との一貫性はどうなのか、戦争を描かなかったことで作品自体が薄くなっていないかなどなど、予定時間内では収まり切れませんでした。
 それでも予定時間もあるので、進行役のワシャは盛り上がっている議論を一旦終了として、なんとか3時間目に入ったのだった。
 3時間目は、平成25年に読んできた書籍の中で、一押しと思われるものを1冊2冊紹介し合うというもの。ここで意外な本に出会って読書の庭がぐっと広がるということもたびたびあった。いつも好評のコーナーである。メンバーが推薦した本を列記しますね。
内田樹『修業論』(光文社新書
J・ダイアモンド他『知の逆転』(NHK出版新書)
池田信夫/與那覇潤『日本史の終わり』(PHP研究所)
池田信夫『日本史の起源』(?)
石弘之/石紀美子『鉄条網の歴史』(洋泉社
河本薫『会社を変える分析の力』(講談社現代新書
松竹伸幸憲法九条の軍事戦略』(平凡社新書
百田尚樹『永遠の0』(講談社文庫)
西尾幹二『GHQ焚書図書開封7』(徳間書店
『別冊 太陽』(平凡社
 何冊かはすでに持っているが、すぐに購入したい本も何冊かあった。早速本屋に走らねば……。
(つづく)