背水の陣を敷け

 ワシャの友人が今たいへん苦しい戦いを強いられている。一緒に戦いたいがいろいろな制約があってそういうわけにもいかない。だから歯切れの悪い文章で応援しようと思う。

 史記列伝の淮陰侯(わいいんこう)列伝に「背水の陣」が出ている。淮陰の人、韓信は5万の兵をもって20万の趙軍を打ち破った。この時に採った戦法が「背水の陣」で、これは従来からの戦術論に反したやり方だった。部下の将軍たちは韓信に尋ねた。
「これはどういう戦術でしょうか」
 韓信は答えた。
「このことは兵法にある。ただきみたちが気がつかないだけなんだ。兵法に『死地に陥れられてはじめて生き、亡地に置かれてはじめて存する』と言うではないか」

 これですぞ。あなたはワシャが見る限り自らの退路を断って戦いに臨んでいる。それでいい。死地、亡地に身を置いてこそ起死回生の一発が出るのだ。戦いに費やせることのできる時間は残りわずかである。悔いの残らぬように全身全霊を賭けてがんばってください。
 機は失うべからず、時は再び来らず。
 週明けの吉報を待つ。