友の死

 2年前に友人が死んだ。45歳、心筋梗塞だった。
 原因はいろいろと取り沙汰された。血圧も高かったし、少し太ってもいた。しかし本当の要因はもっと他のところにあるような気がしてならない。
 やつは愛知県内でトップクラスの進学校を出て私大の雄W大を卒業し、地元の自治体に就職した。自他ともに認める優秀な男で将来を嘱望されていた。一人っ子のせいで少しばかりわがままなところもあったが、柔軟な考えかたのできる面白い男で、同期入庁した人間が20人ほどいると思うが、その中でも目立った存在だったという。やつのキャラを考えると実際にそうだったのだろう。
 それが平成13年の人事異動で係長になれなかった。トップを走ってきたと自負しているやつは表にこそ出さなかったが、結構ショックを受けていたはずだ。居酒屋で「係長なんて忙しいばっかりで割に合わない。今の地位でいいのさ」などと話していたのを思い出す。。
 そして翌年の異動でもやつの名前は昇格欄に載ってなかった。なんと1年後輩に抜かれてしまったのである。その年、やつからの音信は途絶えた。この時期にやつが何を考えていたのか解からないが、プライドの高い男だから心中を察するにはあまりある。
 平成15年、同期から2年遅れでようやく係長になった。「よかった」と連絡をしてまもなく、やつの訃報が届いた。(なんのこっちゃ)
 死の要因は、前述したようにいくつも考えられるが、この2年間のストレスがかなり心臓にこたえていたのではないかと思っている。
 年度の変わり目である。自治体に関らず、いろいろな職場で一喜一憂があると思うが、人の一生で職場の肩書きなどというものはさしたるものではない。いかに生きるかが大切なんだ。そういうふうにポジティブに考え、みんな大らかに生きようね。(しまった!やつにそう言ってやればよかった)

 あ、今日、万博が開幕するんだった。ま、どうでもいいか。