映画「半落ち」を見た。久しぶりに泣いた。題のつけかたも秀逸だし、キャストも粒が揃っている。
物語は、妻の思い出を守るために妻殺しという罪を犯した梶警部(寺尾聰)は所轄警察署に出頭してくるのだが、妻を殺してからの2日間の足取りを自供しない。このことに疑問を持つ志木刑事、佐瀬検事、中尾記者、植村弁護士、藤村判事などの関係者を巻き込みながら,梶は「半落ち」のまま結審をむかえる。そしてラストで観客には哀しい真相が明かされる・・・というものである。
「あなたに守りたいひとはいませんか?」
梶が植村弁護士に言い放つ決め台詞である。済んだ目を持つ被疑者にそう問い詰められて困惑する弁護士・・・
白血病で一人息子を失った妻がアルツハイマーを発症し、日々、壊れてゆく。
「思い出のあるうちに・・・息子のことを覚えているうちに・・・殺して・・・」梶は妻の啓子に懇願され、手を下す。
森鴎外の「高瀬舟」に通じる、愛する者の「死」というものに手を貸してしまった被疑者の哀しみを見事に描ききった秀作である。
9時に帰宅して何気なくテレビを捻ったら、丁度、「半落ち」が始まるところだった。仕事で面白くないことがあったので、酒をあおりながら殺伐とした気分で見はじめたのだが、2時間後、はからずも優しくなっている自分を発見し、泣きながら苦笑をしてしまった。(クッショウ!映画館で見ればよかった)←(また駄洒落かよ!)
追伸:祝!愛知万博。ここまできたら頑張ってください。