雅楽コンサート その2

 コンサート会場には、運がいいのか悪いのか興味深い観客に囲まれてしまった。 通路を挟んで右隣では、突然、小太りの女が靴を脱ぎだした。「えっ!」と思って見ていると、小太り女、どっこいしょとばかりにシートにあがったのである。(ここはお座敷か!)小太りの女の踵の踏みつけられた靴は通路に脱ぎっぱなしである。5分ほどそのままになっていただろうか。さすがに小太り女も気がついたらしく、左足を伸ばして靴を自席のほうに寄せている。機用だ。しかしこの上なく横着だ。新春雅楽コンサートのS席で小汚いジーンズにユニクロのオーバーという出で立ちもどうかと思うけどね。
 すぐ後ろのおばはんは、東儀が何か話すたびにいちいち隣の友人のおばはんに話しかけていた。うるさいことこの上ない。黙って鑑賞しろ。挙句の果てには東儀の演奏に合わせて歌い出す始末、なんとかしろよ会場責任者。
 左の席に一人で来ていたおばはんは東儀の童話朗読の「ウサギは龍の胸のところで笛を見つけました」というフレーズで号泣していた。「えっ!この朗読で泣けるの?」おばはんの大げさな感受性に驚いた。
 そして斜め前の中年カップルだ。男のほうは頭頂部が禿げてはいるが、年のころなら40前後か、女のほうも同年代でやや太めで黒っぽいセーターにジーンズ、水色の派手なブーツにピンク色のマフラーという出で立ち(なんだかとってもちぐはぐ)。まぁそれはいい。問題はコンサートが始まる直前まで男が女の肩を抱いて、ずっとくっついていることだ。まぁそれもいいけどね。見なきゃいいんだから。
 そんなこんなで結構楽しめたコンサートだった。