公園は誰のもの

 名古屋で好きな場所はと問われれば、真っ先に白川公園周辺と答えるくらいあの一角が気に入っている。名古屋市科学館は夏休みに子どもと訪ねた思い出の場所だし、名古屋市美術館もいろいろな展示会で何度も足を運んだ場所だ。それに御園座の存在が大きい。春と秋の歌舞伎公演は欠かさず観劇に出かけている。早めに出かけていって開演前に白川公園を散策するのが何より楽しい。
 今朝の新聞に「名古屋ホームレス問題 弁護士ら『撤去は違法』」という記事があった。名古屋市白川公園一帯の環境整備を図るためホームレスらに自主撤去を求めている。これに対して心の広い憲法学者様や弁護士様が「撤去手続きは違法だ」と因縁をつけて白川公園の今のすばらしい環境を守ろうとなさっている。ごくろうなこった。
 白川公園には、林間の散策路があったが、子どもを伴ってその小道に踏み込むことはできなかった。ブルーシートのテントがいくつもあり、その辺りで数人の男たちが空き缶を広げて缶潰し作業をしているのである。一般市民は遠慮せざるを得ない。
 お偉い憲法学者様や弁護士様に問いたい。「公の土地を不法占拠して一般の人間が利用できない状況にしているというのは『違法』ではないのか」と。
 昨年の晩秋のことだった。朝、仕事の関係で重いカバンを下げて白川公園にさしかかった。樹木の間を抜けて朝日が伏見通まで届いている。ふと視線を公園に向けると、朝げの支度をするのか林の中のブルーシートから白い湯気が上がっている。その横では男が背もたれの大きい椅子に腰掛けて煙草を燻らせながらコーヒーを飲んでいた。
 肩に担いだ荷物がずっしりと重くなった気がした。
 お偉い先生様に訊きたい。公園は日日、必死に働いている市民のものではないのか?刑法39条を適用された犯罪被害者同様、泣き寝入りをしなければいけないんですか?
 市民に公園を返せ!(私は名古屋市民ではないけど・・・)