古書漁り

 日曜日に近所のブックオフへいった。
100円本にまれに高価な本が混じっているのでブックオフめぐりはやめられまへんなぁ。今日はしめて15冊を購入する。その中に、裏日本の村長が出した自伝があった。もちろん100円で買う。私はこの手のバカ本が大好きである。巻末のプロフィールに掲げてある肩書きだけで18、過去の肩書きを含めれば46も書き連ねてある。凄い村長様の自伝だ。これは今日一番のめっけものだった。
 和田宏著「司馬遼太郎という人」の中でこんな司馬さんが紹介されていた。
「『この隣の部屋で県会議員が宴会でもしてたら、裸足で逃げるよ』料亭での席でいったことである。どうしてこんなに、と思うくらい政治家が嫌いな人であった。(中略)要するに権力風を吹かす人が一番嫌いなのであった。(司馬さんは)自分の体積をできるだけ小さくして物を見ようと努める人だっただけに、かさ張ろうとしている人にはとくに敏感だったのだろうか。」
 司馬作品を読めば共通していることなのだが、司馬さんは肩書きに依存する人、自分を殊更に大きく見せようとする人を嫌悪している。奥ゆかしさのない人間や臆面もなく自分の卑小な人生を他人に誇れる人物を司馬さんは理解しようとはしなかった。
 まさにその典型のような人物の自伝である。文中、村議会議長、村の教育長、建設関係者などなどが、この当時の村長様を褒めちぎっている。どこぞの国の体制と似ているといえば似ている。
 私は残念ながらこの村長を知らない。もしかしたら本当に大人物なのかもしれないが、恥ずかしげもなくこの手の本を出版できる御仁とは、司馬さんの影響もあってあまりお付き合いをしたくない。歯牙に合わないというのだろうか・・・
ネットで検索したら、この御仁、とある県の議員さんにご出世あそばされていた。まさに司馬さんが裸足で逃げる県会議員だったんだ。ホームページに掲載されている肩書きは、なんと70に増えていた。あな、おそろし。
(おまけ)
 ブックオフでは1時間ほど、物色していただろうか。日曜日ということもあって客は多い。4〜5歳の幼児が奇声を発して店内を走りまわっている。本を選ぶところは静謐でなければならないと思っているので、二度、そのガキに注意をした。ガキは他人に叱られたことがないのか、きょとんとしている。今回も親はなにも言わない(10月31日参照)。子どもの躾も必要だが、本屋で子どもを放牧する親の躾をしなければなるまい。