看板倒れ

 候補者がいなくて盛り上がらない東京都知事選。もちろん候補者は山ほどいる。ワシャの言いたいのは、「ディオゲネスのランプ」ということである。

東京都知事選挙掲示板すでに「満杯」…継ぎ足すスペース確保、職員「間に合わない」悲鳴も》

https://news.yahoo.co.jp/articles/a02242e3cfda0103c86028a764aa712f445463d1

 古代ギリシャの哲学者、ディオゲネスが人を求めて白昼にランプを灯してアテネの目抜き通りを歩いたという逸話が、「ディオゲネス伝」の41節に載っている。まさに東京都知事選、賢明な有権者は白昼ランプをかざして銀座や新宿を彷徨っているのかもしれない。

 それにしても現段階で立候補予定者が53人と言う。おいおい、たった一人の知事を選ぶのに、53人も候補者がいて、候補者がいないという悲劇。

 通常の首長選挙であれば、2人か3人、田舎町であれば首長に対抗する立候補者が見つからず、ずっと無投票というところもある。

 地方の知事選だと、与党に推された候補と左傾の対立候補、思い出作りに立候補したオジイサンとか、目立ちたがりの小僧とか、せいぜい数名といったところだろう。

 しかし首都の首長ともなると、こうなっちまうんでしょうかね(笑)。選挙というのは「公職選挙法」という古い法律によってがんじがらめにされていて、ポスター掲示場は「市町村が必ず設置しなければならない」とされている。都内に1万4200か所、53人のポスターが掲示できる巨大な貼り付け板を設置するんですと(呆)。

 ワシャは手伝いでこの設置業務を体験したことがあるが、わずかに4人のポスターを貼る小さな掲示板を設置するのにもかなりの時間を要したことを覚えている。これが53人分で1万4200か所って、途方もない税金の無駄遣いとしか思えない。

 こんな徒労をしたって、有権者の50%は気がつかないって。それよりも、くだらないバラエティー番組を少しだけ短縮して、1人15秒ずつ顔写真、名前、公約などを流せばいい。14分程度のことである。テレビ局は放送料を請求してくるかもしれないけれど、電波は国のものでしょうが。首相が「うっせいわ!」と言ってそうしちまえばいいじゃないですか?

 そうすれば、C02(ケッ)の排出にもなりませんし、資源の無駄遣いにもなりませんぞ。

 それに東京都は、オランダやトルコほどの規模の行政体なのである。そのトップを選ぶのはどうしても人気投票にならざるを得ないが、もう少し人選のできる形態に変えられないものか?53人も出馬して、下馬評では「嘘こき二人組」のどっちかが当選なんて情けないを通り越して絶望的だ。

 そろそろ選挙制度自体を見直す時期が来ていると思う。