老兵はただ去っていけ

谷川弥一議員が辞職願 会見で謝罪「大臣並みの金を集めてやろうと」》

https://news.yahoo.co.jp/articles/d1e57eb19c2359942624f706eeeca4f77d653469

 ご老体、政治資金規正法違反で略式起訴された。このままでは公民権停止で、次の衆院選には出られず、次の次を待てば86歳。これはさすがにえらかろうということで辞職に至る。

 この人、昨年12月の街頭取材での「頭悪いね」発言や、議会中の爆睡映像を撮られなければ、「潔い引き際だ」と言われたかもしれないが、人間性の本質を全国に丸出しした後では、「万策尽きて逃げたんだね」と思われても仕方ない。

 

 まぁこの老人の出処進退など日本国になんの影響もないので、このタイプの政治家について話をしておきます。

 土建業をやっていて政治家に転じる、このケースは多い。田中角栄がその最たる例だ。角栄土建屋から首相まで登りつめることで、戦後復興から高度経済成長期、その後の「日本列島改造論」の追い風で羽振りのよくなった土建屋のオヤジが二番煎じを狙った。

 ある程度の金ができれば、次に欲しくなるのは名誉だ。角栄が絶好の例を示してくれたので、一般的に学歴のない土建屋のオヤジたちが「オレもいっちょうやってみっぺ」となるのは必然と言っていい。

 でもね質が違った。角栄は、学歴はなくとも官僚どもをはるかに上回る頭脳、大きな国家観(是非はともかく)、さらに人物としての魅力、スケールを持っていた。

「政治くらいオレにもやれる」と土建屋のオヤジは誤解をしてしまった。それでもばら撒く金を持っているので選挙を善戦し「議員様」にお成り遊ばす。

 ここで谷川弥一議員の発言が参考になる。

「私は力をつけたかった。大臣並みの金を集めてやろうと思いました。金を集めることが必要なことだと思っていました」

 議員が力をつける。これは「勉強」に尽きる。情報収集をする。データを読み込む。読解力を養うため本を読む。議会で寝ている暇はない。議場に資料を持ち込んで、ラインを引き付箋を打ちながら活字を追え!

 力をつけること=金を集めるって・・・大きな誤解が悲劇を招いてしまったようだ。

 そしてこうも言っている。

「いろんな政治活動に使ってきた。個人的に使った記憶はない」

「(パー券収入の)半分は会社、半分は友達に買ってもらったが、誰が買ったかは迷惑が掛かるので言わない」

 個人的に使わなくとも、自身の選挙のために使えば個人的な使用目的だよね。パー券の購入先を明らかにできないって、そこにこの問題の闇がある。政治家に支援を表明している人なら名前を公表されてもなんら問題はないはずだ。問題になるケースは外国人が購入している場合じゃないの?ここを詳らかにしなければ「潔い出処進退」とはなるまい。

 

 でもね、会見の最後の一言だけは秀逸だった。ここは記事を引いておく。

《これまで周囲に「当選7回で大臣をしていないのは清和会(安倍派)で俺だけ」と自嘲気味に語っていた谷川氏は結局、大臣に届かず政界を去る。会見で派閥の力について問われると「大臣になれなかったんだから、あまり」と答えた。》

「大臣になれなかったんだから、あまり・・・」

 この「あまり」の後の余韻がいい。脚本家がいるとするなら名セリフだったね。大臣になれなかったという悲しみ、派閥というものの現実、無能な議員を登用しなかった安倍さんの厳しさなど、いろいろな思いが去来したのではないか。

 もう少し教養をつけておけば、安倍さんに一目置かれて大臣になれたかもよ。

 

 自民党を名のり高級車で庁舎に乗り付けている多くの地方議員に言いたい。金じゃないんだ、あなたの能力を住民は求めている。くれぐれも谷川議員の轍を踏んではいけない。