政治家の器量を寸評

 後藤忠政『憚りながら』(宝島社)を読んでいて、声をあげて笑ってしまった。「政治と品格」という章に、一人のチンケな政治家が登場する。本の中でも実名で書かれているのであえて隠すこともないだろう。「稲垣実男」という北海道・沖縄開発庁長官だった男である。この大臣、政治よりも金儲けのほうが好きだったらしく、無許可・無認可で高齢者相手に詐欺的商法を手掛け、出資法違反で逮捕、起訴されたというどうしようもないオッサンだった。
 この先生、実を申しますと、ワシャの地元の三河から出ていた先生様でごぜーますだ。大臣になった時には地元でそりゃぁもうお祭騒ぎでごぜーました。連日連夜、芸者衆をあげてのどんちゃん騒ぎを繰り広げたもんでごぜーます。
 式典やセレモニーでもえばっておりましたぞ。末席とはいえ大臣様には違いはございませんので、地元ではいつも上座でふんぞり返っておられました。でもね、どこそこ小者感のただよう貧相な政治家ではありました。しかし、まさか、東京で後藤組の組長にスコンポコンにやられていたとは知りませんでした(笑)。詳しくは本を読んでいただくとして、ほんの少しだけさわりを。
《江藤さんはさすがに腹が据わっていた。自分の子分のケツをふくためにわざわざ俺ん所に頭を下げに来たわけだから、立派なもんだ。侍だよ。しかし当の子分(稲垣)には、ほとほと呆れたよ。現職の大臣といったって、プライドも何もあったもんじゃないんだから。》
 因みに「江藤さん」というのは、稲垣大臣が所属していた江藤派の領袖、江藤隆美衆議院議員のことである。
 このエピソードが1997年頃の話だから、13年くらい前までは、政治と極道の世界はべったりと癒着していたことが覗える。

 この本の中で取り上げられている政治家は20人ほどである。このわずかなメンバーの中に田中角栄小泉純一郎とともに、我西三河からはもう一人取り上げられている。光栄のいったりきたりなので紹介をしておこう。
《それにしても、今の政治家ってのは、小粒になっちゃったな。平沢(勝栄・現自民党衆議院議員)とか、山本一太(現自民党参議院議員)とか大村某(秀章・現自民党衆議院議員)とか》
 オラが村の先生様を「某」呼ばわりは、ひどいじゃぁござんせんか(笑)。