昨日の朝、ケータイが鳴った。友人のパラピー君だ。「なんのこっちゃ?」と出てみると、ワシャの自宅から10分ほどのところに大きい図書館があるんだけど、その「図書館に顔を出すことがあるか?」と問う。
愚問ですな。
ワシャは図書館に頻繁に行く。過去の新聞や雑誌のコピーを取るためとか、資料や文献を確認するために。ただ、暇なジジイではないので図書館に長居はしない。立ち寄っても15分程度で事足りる。目的が明確だからね。
行く時間もバラバラでね、自宅にない資料が必要になった時とか、それが朝なら午前9時のオープンとともに入館するし、夕方以降に、気になることがあれば、晩酌の前でも流星号でひとっ走り。週に5日は、なんやかやで顔を出している。
昨日は、童話作家の新美南吉の資料の話で、図書館司書との打ち合わせがあった。そのため午前中に行く予定だった。パラピー君、すごいな、ワシャの行動を見通していたんだね。
「知り合いに本を薦められた。ネットで調べたんだけどワシャさんの近くの図書館にしかなかった。確保しておいて~」
その本の題名が『私の文章修行』(ぎょうせい)。前愛知県知事の神田真秋氏のエッセイ集だった。
え、それワシャは持っていたでぇ。というか、年末まで書庫の通路に転がっていた。
パラピー君に言われて、書庫を探したのだが、あれれ、見つからない。あぁ思い出した。年末の大掃除の際に、書庫じゅう、家じゅうに本が溢れてしまっているので、その整理をやったんだった。
基本的にワシャは本が捨てられない人間なんですわ(泣)。いつか必要になると思ってしまうし、とくに付箋の打ってある本は、自分の思いも染みているようで・・・。
でも、心を鬼にして段ボール1箱分の不要書籍(全体の1000分の1ほど)をピックアップし、ブックオフに持って行ったのでした。めでたしめでたし。
ああー、その中に『私の文章修行』も入れてしまった。
その本を買ったのは、やはりブックオフだった。15年前くらいだったと記憶している。「文章修行」というタイトルに目が留まったのと、愛知県知事だった人が書いているということと、値段が格安だったんで購入した。
すぐに目を通したが、まぁそれなりにはエッセイ風にはなってはいる。しかし、文章が、あくまでも「住民の皆様に対する首長政治家」の域を出ず、県広報誌の知事のページを読んでいる感覚だ。出版社も『ぎょうせい』という自治体ご用達の特殊な出版社で、内容がよかったから上梓したというよりも「知事のエッセイ」という価値が優先したものだと思う。
とにかく買って読んだ。しかしどうということもなかったんで、そのまま棚に挿しておいた。でもね、ワシャんちの本の増殖は著しく、すぐに棚からはみ出して、通路に横積みされるようになった。件の本もその運命に。横積みになって数年、ついに昨年末、段ボールに収められ、ブックオフに出荷してしまったというお粗末。
不要で廃棄した途端、必要になる・・・こうなるから本が捨てられないんです(泣)。
仕方がないので、図書館での打ち合わせ終了後、『私の文章修行』を借りてきましたがな。
その時のでき事で、ちょっと嬉しいことがあった。こんな恥ずかしいことは事実でなければ書けません。でも、バカなワルシャワとしては、そんなこと言われたことがなかったものですから、多少の顰蹙は覚悟して記しておきます。
パラピー君の本を借り、3階から2階へと階段を降りていた。その先の2階のフロアにはちょっとしたスペースがあって、時事ニュースの本を並べたり、特定の作家の本を並べて展示するコーナーとなっている。
そこで70歳くらいの女の人が展示物を眺めていた。よく見ると、その人は知っている人で、かつて凸凹商事の先輩社員だった。その人は同僚の女性数人とグループを作っていて、いつもガチャガチャと駄弁っていたことを覚えている。ちょっと恐いお姐さま方だったけど、「ワシャ君、ワシャ君」と目を掛けてもらった。どうだろう、もう10年ぶりぐらいか。
コーナーの展示机ごしに「こんにちは」と声を掛ける。
先輩は顔を挙げてワシャを見た。ワシャはマスクをしていたので、最初は「え、誰?」という怪訝な表情だったが、少し間をおいて、記憶がよみがえったんでしょうね。
「あ~ら、ワシャ君。あ~びっくりした。俳優の高橋一生かと思っちゃったわよ」
えええ、そんなこと言われたことないっすよ。目が垂れ気味なところとヘアスタイルが似ているくらいのことでんがな。浅黄色のレザージャケットに細身のジーンズ、ヒール高めのブーツを履いていたのが好印象だったのかなぁ。
久し振りだったので、お追従だったのかもしれない。でもちょいと嬉しかったのも事実でゲス(赤面)。
でね、その先輩、ワシャの最近の動向に触れて「どうして凸凹の社外役員を辞めっちゃったのよ?2期はやらなくっちゃ」と訊いてくる。
「いやぁ1期4年でやるだけのことはやってしまったし、社長の首を取れましたから。それにパーティー券とかセレモニー出席への強制が、高橋は嫌だったんですよ」
オメエ、しっかり「高橋」になりきっているじゃん(アホ)。
「高橋」と言えば、二所ノ関部屋の高橋が今場所から四股名を改めた。「白熊(しろくま)」である。ううむ、二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)のセンスはおもしろい。
こっちの白熊高橋にはワシャは全然似ていないのであった。もちろん高橋一生にも似てないよ(笑)。